[S-VC35] 次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト

[SVC35-07] 火山研究人材育成コンソーシアム構築事業における大学・自治体・民間企業の連携と今後の展望
―火山防災特別セミナーを軸に―

*齋藤 さやか¹、西出 則武¹、地引 泰人²、西村 太志¹ (1.国立大学法人 東北大学、2.国立大学法人 東京大学)

キーワード：火山防災特別セミナー、地方自治体、民間企業、大学、連携、防災

次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトにおいては、「行政機関（国・地方）」や「民間企業」と、「大学・研究機関」が“協力”・“連携”することがモデルとして描かれている。本報告では、火山研究人材育成コンソーシアム構築事業における「火山防災特別セミナー」を取り上げ、これまでの取り組みや課題、今後の展望について議論する。
火山防災特別セミナーは、コンソ―シアムの参画機関（協力団体）である地方自治体や民間企業において火山防災や火山研究を担う方たちを対象としている。同時に、受講生にとって、火山防災行政、及び業務について学べる機会として設計した。すなわち、大学や地域、産官学の垣根を取り払い一堂に会し、数日間に渡って議論するのが火山防災特別セミナーである。そこでは、各自治体や企業の業務、及び研究について発表があるとともに、1つのテーマに沿った講義を受け、地域の火山の現場を巡検した上で、課題について総合的に議論し、見識を深めてきた。
2018年に開始し、火山防災特別セミナーは5年間にわたって長崎県（雲仙）、長野県（上田）、熊本県（阿蘇）、鹿児島県（桜島）、神奈川県（箱根）において開催してきた。直近2022年度のセミナーを参照すると、箱根にて「火山防災と観光」をテーマに実施した。8地方団体（オンライン参加3自治体含む）、4民間企業、国の2機関、及び、火山研究者、受講生7名の、総勢46名が参加した。参加者からは、立場の異なる人の考えや意見を聞けること、現地で直接講師の解説がきけ、理解が深められることなどが利点として多くあげられた。一方で、継続的な交流を求める声や、定期的に学べる機会の構築が求められる他、課題もある。報告を通し、今後の展望も含め議論する。