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[SVC36-P05] 中期中新世角田火山岩類の火山砕屑岩から推定される斜面崩壊とマグマ水蒸気爆発
キーワード:古海底火山、マグマ水蒸気爆発、海底土石流堆積物、高密度混濁流堆積物
火山体の発達史を考えるうえで,火山砕屑岩の運搬・堆積過程とその砕屑物の起源となる噴火イベントを明らかにすることは重要である.
新潟県中央部に位置する角田山地域には,新第三紀の玄武岩,安山岩,デイサイトが分布し,角田山火山岩類と呼ばれ(長瀬ほか,1992),下位から玄武岩質の火山弾を含む火山砕屑岩Ⅰ,複輝石安山岩Ⅰ,無斑晶質安山岩,玄武岩質安山岩,本質岩片としてホルンブレンド複輝石安山岩のスコリアを含む火山砕屑岩Ⅱ,ホルンブレンド複輝石安山岩,ホルンブレンド複輝石デイサイト,複輝石安山岩Ⅱ,ホルンブレンド含有複輝石安山岩のスコリアを含む火山砕屑岩Ⅲ,ホルンブレンド含有複輝石安山岩,そして最上位の複輝石デイサイトⅡからなる.また,火山砕屑岩Ⅱ中には,現在地層としては見られないが,無斑晶質デイサイトや複輝石デイサトⅠが含まれる.複輝石安山岩Ⅰ,無斑晶安山岩,玄武岩質安山岩は,全てハイアロクラスタイトからなり,海底で流出・定置した層である.ホルンブレンド複輝石安山岩,ホルンブレンド複輝石デイサイト,複輝石安山岩Ⅱについては,マシブ溶岩とハイアロクラスタイトからなり,ホルンブレンド含有複輝石安山岩と複輝石デイサイトⅡはマシブ溶岩からなる.
今回,玄武岩質安山岩およびホルンブレンド複輝石デイサイトのハイアロクラスタイト層に挟まれる火山砕屑岩層Ⅱについて,上位に向かっての層相変化や層の内部構造,構成する岩片および基質の鏡下観察と化学組成分析を行い,火山砕屑岩Ⅱを形成した噴火と堆積物の運搬・堆積過程について検討した.その結果,下部は低含泥率の海底土石流堆積物,上部は高密度混濁流堆積物でこれらが一連で累重する層序を見出した.
低含泥率の海底土石流堆積物は,厚さ2.8~5.8mの火山角礫岩層が成層する.それぞれの層は逆級化構造を持ち,上部には径が20㎝以上になる巨礫サイズの溶岩岩塊が多く,稀に約2~3mの溶岩ブロックが含まれる.また,長さ10m,厚さ2mにおよぶ板状のブロックも見られる.これらは,化学組成分析の結果から無斑晶質デイサイトであった.溶岩ブロックは,板状に割れ目が発達し,赤みがかった岩片も見られることから,陸域で流出した溶岩が崩壊したものと考えられる.加えて,少量の円礫を含み,つまり,円磨をうける海浜環境にあった礫も一緒に含まれいることから,火山島の斜面崩壊が示唆される.
高密度混濁流堆積物は,成層した凝灰角礫岩と火山礫凝灰岩および火山礫岩の互層からなり,上方薄層化上方細粒化を示す.それぞれの層内において,逆-正級化構造,正級化構造を示すものもあるが多くは無級化であり,層理面にほぼ平行に平板状の礫を含む層も見られる.最下位は,厚さ2.5mや3.6mで厚く,多種の礫種からなり,10㎝程度の大礫に富む.また,稀に亜円礫,約1mの巨礫も含む.最上部は,粒度の異なる細粒な薄層がレンズ状に重なる成層構造を示す.多孔質な本質岩片に富むが時折緻密な類質岩片も含む.礫種は,デイサイト溶岩,玄武岩質安山岩岩,凝灰岩,黒色安山岩,シルト岩の礫を含み,多孔質な本質岩片を45%程度含む.この本質岩片は,ガラス質なホルンブレンド複輝石安山岩であり,最大で60~70%に達する様々の発泡度を示す.このような本質岩片は,この高密度混濁流堆積物全体に認められ,下部の低含泥率の海底土石流堆積物中にも少量であるが認められる.多孔質な本質岩片は,この噴火が爆発的噴火であったことを示唆する.また,下部と中~上部の構成する低泥率の海底土石流堆積物と高密度混濁流堆積物の境界は,調和的である.すでに述べたが,低含泥率の海底土石流堆積物中には,無斑晶質デイサイトの長さ10m,厚さ2mの巨大な板状の溶岩ブロックや2~3m大の巨礫が含まれ,これらは,一部に赤みを帯びており,陸上で流出・定置したことが示唆される.したがって,火山砕屑岩Ⅱが形成される前は、離水した火山島を形成していたと考えられる.もしかすると,低含泥率の海底土石流を発生させた斜面崩壊がトリガーとなり,海面下でマグマ水蒸気爆発が発生した可能性がある.
新潟県中央部に位置する角田山地域には,新第三紀の玄武岩,安山岩,デイサイトが分布し,角田山火山岩類と呼ばれ(長瀬ほか,1992),下位から玄武岩質の火山弾を含む火山砕屑岩Ⅰ,複輝石安山岩Ⅰ,無斑晶質安山岩,玄武岩質安山岩,本質岩片としてホルンブレンド複輝石安山岩のスコリアを含む火山砕屑岩Ⅱ,ホルンブレンド複輝石安山岩,ホルンブレンド複輝石デイサイト,複輝石安山岩Ⅱ,ホルンブレンド含有複輝石安山岩のスコリアを含む火山砕屑岩Ⅲ,ホルンブレンド含有複輝石安山岩,そして最上位の複輝石デイサイトⅡからなる.また,火山砕屑岩Ⅱ中には,現在地層としては見られないが,無斑晶質デイサイトや複輝石デイサトⅠが含まれる.複輝石安山岩Ⅰ,無斑晶安山岩,玄武岩質安山岩は,全てハイアロクラスタイトからなり,海底で流出・定置した層である.ホルンブレンド複輝石安山岩,ホルンブレンド複輝石デイサイト,複輝石安山岩Ⅱについては,マシブ溶岩とハイアロクラスタイトからなり,ホルンブレンド含有複輝石安山岩と複輝石デイサイトⅡはマシブ溶岩からなる.
今回,玄武岩質安山岩およびホルンブレンド複輝石デイサイトのハイアロクラスタイト層に挟まれる火山砕屑岩層Ⅱについて,上位に向かっての層相変化や層の内部構造,構成する岩片および基質の鏡下観察と化学組成分析を行い,火山砕屑岩Ⅱを形成した噴火と堆積物の運搬・堆積過程について検討した.その結果,下部は低含泥率の海底土石流堆積物,上部は高密度混濁流堆積物でこれらが一連で累重する層序を見出した.
低含泥率の海底土石流堆積物は,厚さ2.8~5.8mの火山角礫岩層が成層する.それぞれの層は逆級化構造を持ち,上部には径が20㎝以上になる巨礫サイズの溶岩岩塊が多く,稀に約2~3mの溶岩ブロックが含まれる.また,長さ10m,厚さ2mにおよぶ板状のブロックも見られる.これらは,化学組成分析の結果から無斑晶質デイサイトであった.溶岩ブロックは,板状に割れ目が発達し,赤みがかった岩片も見られることから,陸域で流出した溶岩が崩壊したものと考えられる.加えて,少量の円礫を含み,つまり,円磨をうける海浜環境にあった礫も一緒に含まれいることから,火山島の斜面崩壊が示唆される.
高密度混濁流堆積物は,成層した凝灰角礫岩と火山礫凝灰岩および火山礫岩の互層からなり,上方薄層化上方細粒化を示す.それぞれの層内において,逆-正級化構造,正級化構造を示すものもあるが多くは無級化であり,層理面にほぼ平行に平板状の礫を含む層も見られる.最下位は,厚さ2.5mや3.6mで厚く,多種の礫種からなり,10㎝程度の大礫に富む.また,稀に亜円礫,約1mの巨礫も含む.最上部は,粒度の異なる細粒な薄層がレンズ状に重なる成層構造を示す.多孔質な本質岩片に富むが時折緻密な類質岩片も含む.礫種は,デイサイト溶岩,玄武岩質安山岩岩,凝灰岩,黒色安山岩,シルト岩の礫を含み,多孔質な本質岩片を45%程度含む.この本質岩片は,ガラス質なホルンブレンド複輝石安山岩であり,最大で60~70%に達する様々の発泡度を示す.このような本質岩片は,この高密度混濁流堆積物全体に認められ,下部の低含泥率の海底土石流堆積物中にも少量であるが認められる.多孔質な本質岩片は,この噴火が爆発的噴火であったことを示唆する.また,下部と中~上部の構成する低泥率の海底土石流堆積物と高密度混濁流堆積物の境界は,調和的である.すでに述べたが,低含泥率の海底土石流堆積物中には,無斑晶質デイサイトの長さ10m,厚さ2mの巨大な板状の溶岩ブロックや2~3m大の巨礫が含まれ,これらは,一部に赤みを帯びており,陸上で流出・定置したことが示唆される.したがって,火山砕屑岩Ⅱが形成される前は、離水した火山島を形成していたと考えられる.もしかすると,低含泥率の海底土石流を発生させた斜面崩壊がトリガーとなり,海面下でマグマ水蒸気爆発が発生した可能性がある.