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[U08-P04] 熱水噴出孔環境に生じる発電場を模擬したグリオキシル酸の生成及び反応駆動
キーワード:アストロバイオロジー、プロトメタボリズム、生命の起源
グリオキシル酸は生物代謝の重要な中間体の一つであり、前駆代謝(プロトメタボリズム)においても必須の炭素源として、生命発生に深く寄与した可能性が指摘されている。一方,プロトメタボリズム、そして生命の発祥の地として熱水噴出孔環境は長年注目を集めてきたが、このような環境でグリオキシル酸が生成するメカニズムは明らかとなっていない。本研究では,熱水噴出孔環境に生じる電気化学反応場を模擬した室内実験を行い、グリオキシル酸がシュウ酸の電気還元によって得られることを見出した。本反応には硫化鉛(PbS)がよい触媒として働き、シュウ酸がプロトン付加状態にある酸性pH(~1.3)において効率的に進行する。一方、中性pHにおいてはグリオキシル酸は2量体化しつつ還元され、酒石酸に変化することが確認された。酒石酸は更なる化学反応によって、プロトメタボリズムの重要な中間体となる可能性が期待される。以上の結果を踏まえ、本発表では生命発生に有利な熱水噴出孔環境について議論する。