日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-12] 日本の学術出版とオープンサイエンス、オープンデータ

2023年5月24日(水) 15:30 〜 16:45 展示場特設会場 (1) (幕張メッセ国際展示場)

コンビーナ:小田 啓邦(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、川幡 穂高(早稲田大学 理工学術院 大学院創造理工学研究科)、座長:小田 啓邦(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、川幡 穂高(早稲田大学 理工学術院 大学院創造理工学研究科)

15:30 〜 15:45

[U12-01] PEPSにおけるオープンサイエンスとオープンデータ

★招待講演

*多田 隆治1 (1.千葉工業大学地球学研究センター)

キーワード:オープン・サイエンス、オープン・データ、PEPS

オープンサイエンスの重要な意義として、研究成果の共有と並んで、研究の信頼性のチェックや再現性の確保があります。近年、出版される論文数が上昇の一途を辿るにつれ、各研究者が1本の論文を読むのにかける時間は短くなり、研究の結果や結論のみを拾い上げて、自分に都合よいものを無批判に引用する論文が目立ってきたように思います。こうした方式は、1次データまで辿るのに時間や手間がかかるため、研究内容や結果に直接関心がある人以外は、研究の再現性やデータの信頼度のチェックを敬遠しがちとなります。また、参考資料やリポジトリに入れる1次データやその吟味の詳細に関する記述の査読は、本編に比べて十分でない場合が多い様に思われます。その結果、最終結果を魅力的かつ解り易く見せるための図に使われている2次データの元データがうまく辿れなかったり、元データを2次データに変換する際の仮定が曖昧だったり、信頼性評価が不十分である論文が結構存在するのではないでしょうか?
一方で、データの再現性にこだわり、その前提・仮定や適用の限界などに関する情報を正しく読者に伝えたいという要望も確実に存在します。PEPSは、研究が再現可能であること、その為に1次データまで追跡可能であることにこだわり、なるべく本編内で1次データまで辿れ、研究の再現を行いやすい論文の掲載に努めています。発表では、こうしたPEPSの取り組みや直面する問題をご紹介し、皆様からのご意見、ご助言を頂ければと思います。