16:15 〜 16:45
[U12-03] みんなの科学
★招待講演
キーワード:専門書、ダーウィン、ガリレオ、科学、科学者
チャールズ・ダーウィンの『種の起源』(1859)は、専門書としてではなく、一般書として世に送り出された。仮にあれが専門書の体裁をとっていたとしたらどうだったか。時代は四半世紀近く遡るが、ガリレオ・ガリレイの『天文対話』(1632)は、通例を破り、ラテン語ではなくイタリア語で出版された。ガリレオは、異端審問にかけられる危険を犯してまで、科学を市民と共有したかったのだ。科学はかつて自然哲学と呼ばれていた。しかし科学研究が制度化されたことで科学者を意味するscientistという単語も造語され(1833)、職業化が進み、ある意味で血の通わない科学になってきた。現在、感染症を始めさまざまな分野で専門知の活用、共有の要望が高まっている。科学を「血の通ったもの」にするにはどうすればよいのか、考えたい。