日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS03] 大規模な水蒸気場と組織化した雲システム

2024年5月29日(水) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:三浦 裕亮(国立大学法人 東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻)、高須賀 大輔(東北大学大学院理学研究科)、濱田 篤(富山大学)、横井 覚(海洋研究開発機構)

17:15 〜 18:45

[AAS03-P05] 量子計算の雲アンサンブル表現への利用

★招待講演

*上野 和雅1三浦 裕亮1 (1.東京大学大学院理学系研究科)

キーワード:量子コンピューティング、モンテカルロ計算、確率的雲アンサンブルモデル

量子コンピュータは重ね合わせや干渉、もつれの状態を上手に使用することで、必要となる計算処理を減らすことができるのが特徴である。これにより、近い将来登場するような古典コンピュータであっても、現実的に計算できなかったような大規模な計算を行うことができるようになると期待されている。一方で、大規模な計算が必要となる大気海洋分野における量子コンピュータの活用に関する研究はまだあまりなされておらず、効果的な活用法が未解明なのが現状である。本研究では、Stochastic Multi-cloud Model (Khouider et al. 2010)に対して、量子コンピュータで計算するアルゴリズムを提唱する。Stochastic Multi-cloud Modelは、グリッドスケールで解像されない個々の雲の変動に関して、グリッド内をさらに細かく区切って幾つかの種類の雲に割り当てることで計算を行うモデルである。ここでは量子状態の確率振幅を雲の割合と対応付け、その出力が離散的となることを利用して、従来の古典モンテカルロ計算を用いた結果と同様の結果が得られることを示す。本結果は大気海洋分野における確率表現において量子コンピュータを活用できる可能性があることを示唆している。また、その他の確率表現の利用や、より広範な応用の可能性についても議論する。