17:15 〜 18:45
[AAS06-P04] 台風のサイズと強度の関係に関する感度実験

キーワード:台風、充密度、サイズと強度の関係、感度実験
台風の勢力を表す代表的な指標として、サイズと強度の2つを挙げられる。これらの指標を理解することは、自然科学的にも人間社会的にも重要である。しかしながら、台風の内部コアと外部コアの相互作用の複雑さにより、現実の台風のサイズと強度の直接的な関係はいまだ不明瞭である。
先行研究では、充密度(TC fullness)を用いた解析手法が提案されている。充密度とは、台風の外部コアのサイズに対する内部コアのサイズの小ささを表す指標のことで、内部コアと外部コアのサイズ情報を統合することによって台風のサイズ情報を定量化したものである。
本研究では、充密度と強度の関係を感度実験により検証する。また、サイズと強度の関係を説明するのに充密度以外のよい指標があるかどうかも探る。
数値実験にはPlane NICAMを用いた。Plane NICAMとは、全球モデルであるNICAMを転用し、f面でのシミュレーションを可能にしたものであり、台風の現実的なライフサイクルを再現できる実績のあるモデルである。
本実験では、水平方向格子間隔は8 km、鉛直方向は高度40 kmまでに74層とした。また、モデルは三角関数を用いて定式化された軸対称渦で初期化された。この渦の最大方位風速は25 m/sで、渦の風速が高度16 kmで0 m/sとなるよう直線的に減少させた。地表での初期17 m/s風速半径が200, 500, 700 kmとなる3系列について実験した。各系列について、最大風速半径を20 kmずつ変化させたケースを用意した。
数値実験の結果を表したものが図1である。図1の点線は等充密度線を表す。青色のプロットは最大到達強度に達したときを、赤色のプロットは今後2時間で最大風速が1 m/s増加したときを表す。充密度がおよそ0.8のとき台風は急発達し、最大到達強度に達する傾向にあった。17 m/s風速が増加しながら最大到達強度に達する系列と、減少しながら達する系列があり、それは発達段階初期の17 m/s風速半径の大きさの違いによると分かった。
図2は、最大到達強度とそのときの最大風速半径の関係を表す。発達段階初期の17 m/s風速半径が700 kmの系統のもの最大到達強度に達したときの最大風速は小さくなった。
これらの結果は再解析データに基づく先行研究の結果を支持するものである。また台風のサイズと最大到達強度の大きさの関係に関しては、充密度のほかに発達初期段階での17 m/s風速半径も考慮する必要があることが示唆される。
先行研究では、充密度(TC fullness)を用いた解析手法が提案されている。充密度とは、台風の外部コアのサイズに対する内部コアのサイズの小ささを表す指標のことで、内部コアと外部コアのサイズ情報を統合することによって台風のサイズ情報を定量化したものである。
本研究では、充密度と強度の関係を感度実験により検証する。また、サイズと強度の関係を説明するのに充密度以外のよい指標があるかどうかも探る。
数値実験にはPlane NICAMを用いた。Plane NICAMとは、全球モデルであるNICAMを転用し、f面でのシミュレーションを可能にしたものであり、台風の現実的なライフサイクルを再現できる実績のあるモデルである。
本実験では、水平方向格子間隔は8 km、鉛直方向は高度40 kmまでに74層とした。また、モデルは三角関数を用いて定式化された軸対称渦で初期化された。この渦の最大方位風速は25 m/sで、渦の風速が高度16 kmで0 m/sとなるよう直線的に減少させた。地表での初期17 m/s風速半径が200, 500, 700 kmとなる3系列について実験した。各系列について、最大風速半径を20 kmずつ変化させたケースを用意した。
数値実験の結果を表したものが図1である。図1の点線は等充密度線を表す。青色のプロットは最大到達強度に達したときを、赤色のプロットは今後2時間で最大風速が1 m/s増加したときを表す。充密度がおよそ0.8のとき台風は急発達し、最大到達強度に達する傾向にあった。17 m/s風速が増加しながら最大到達強度に達する系列と、減少しながら達する系列があり、それは発達段階初期の17 m/s風速半径の大きさの違いによると分かった。
図2は、最大到達強度とそのときの最大風速半径の関係を表す。発達段階初期の17 m/s風速半径が700 kmの系統のもの最大到達強度に達したときの最大風速は小さくなった。
これらの結果は再解析データに基づく先行研究の結果を支持するものである。また台風のサイズと最大到達強度の大きさの関係に関しては、充密度のほかに発達初期段階での17 m/s風速半径も考慮する必要があることが示唆される。
