日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS09] 大気化学

2024年5月27日(月) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:入江 仁士(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、中山 智喜(長崎大学 大学院水産・環境科学総合研究科)、石戸谷 重之(産業技術総合研究所)、江波 進一(国立大学法人筑波大学)

17:15 〜 18:45

[AAS09-P13] 黄砂に着目した日本のエアロゾルのキャラクタリゼーションと長期トレンド解析

*押見 敏暉1入江 仁士1 (1.国立大学法人千葉大学)

キーワード:黄砂、エアロゾル光学的厚さ、自然起源、人為起源

健康被害や視程悪化を引き起こす黄砂の発生頻度や輸送量の長期トレンドについては、その符号でさえも議論がある。こういった背景のもと、本研究ではSKYNET千葉サイトにおいて、スカイラジオメーターや多軸差分吸収分光法 (Multi-Axis Differential Optical Absorption Spectroscopy; MAX-DOAS)などを用いたエアロゾルの長期観測を実施した。まず、直近の2023年4月の気象庁報告の黄砂飛来イベントを調べたところ、スカイラジオメーターのオングストローム指数データは0.5より低い値を示し、また、光吸収エアロゾル光学的厚さは0.05-0.07と紫外域で有意な光吸収性を示し、千葉においても黄砂の飛来が強く示唆された。しかしながら、エアロゾル光学的厚さ(AOT)や高度0-1 kmのエアロゾル消散係数は黄砂飛来日以外と顕著な差は認められなかった。また、同時観測のPM2.5重量濃度は外出制限ほどの高い値を示さなかった。これらのことから、このイベントにおいて千葉への黄砂飛来量は人間活動に影響を及ぼすほど多くなかったことが分かった。また、同時観測のブラックカーボン重量濃度も他の日と比べて有意な増加は観測されず、この空気塊中の人為起源エアロゾルの影響も限定的だったことが分かった。こういった人為起源の微小粒子エアロゾルと自然起源の粗大粒子エアロゾルを区別するために、スカイラジオメーターのAOTをそれぞれfAOTとcAOTに分割し、それぞれの長期トレンド解析を2006-2023年の期間において実施した。すると、fAOTには年率4%の長期的な減少傾向が認められた。しかしながら、cAOTには有意な変化傾向が認められなかった。本研究では、千葉以外のSKYNET観測サイトでも実施した同様のトレンド解析から得られた結果を示す予定である。