14:45 〜 15:00
[AAS10-05] 長期全中層大気再解析データを用いた準2日波と4日波の季節変化のメカニズムの研究

キーワード:中層大気、ノーマルモード、準2日波、4日波
地球大気の自由振動であるノーマルモードは、静止等温大気を仮定した古典潮汐理論より固有解の存在が知られている。中層大気において観測により検出されているノーマルモードは、仮定とは異なる背景場により、古典理論とは異なる振幅構造をもつことが報告されている(e.g., Hirota & Hirooka, 1984)。これまでに、準2日波(東西波数3のロスビー重力モード)は中間圏において、夏季に振幅が大きいことがわかっている(Rogers & Prata, 1981)。このメカニズムとして、背景場の季節変化に伴うノーマルモード構造の変化(Salby, 1981)や力学不安定による励起/増幅(Plumb, 1983)が考えられている。また、4日波(東西波数2の第1対称ロスビーモード)は中間圏~下部熱圏において、夏至の前後で振幅が大きくなることがわかっている(Yamazaki et al., 2021)。本研究では中層大気における準2日波及び4日波のクライマトロジーと季節変化のメカニズムを明らかにする。
データ同化システムJAGUAR-DASにより作成された全中層大気を対象とする長期の再解析データ(Koshin et al., 2020; 2022)を用いた。東西波数-周波数の2次元スペクトル解析の結果、中間圏において、準2日波と4日波に対応する孤立的なスペクトルピークが確認された。これら2種類の波成分を抽出し、中層大気全域におけるクライマトロジーを明らかにした。さらに、波と平均流の相互作用の観点から、準2日波と4日波の季節変化のメカニズムについての解析を行った。
中間圏において、準2日波のジオポテンシャルハイト(GPH)の振幅は、夏半球、冬半球共に緯度約30度で極大となる。これらの極大の緯度は古典理論とほぼ一致する。極大値は夏半球で大きい。夏半球中間圏にて準2日波の振幅がより大きい1月の準2日波の波活動と背景場の関係を調べた。その結果、夏半球中間圏には、東風ジェットに起因する渦位の南北勾配が負となる領域が広く分布することがわかった。準2日波に伴うEPフラックスの発散が正の領域は、渦位の南北勾配が負の領域に重なるように分布し、その上部に強い上向きのEPフラックスが分布していた。これらの特徴は準2日波のクリティカルライン付近で特に顕著であった。これらの特徴は、夏半球中間圏における順圧/傾圧不安定よる準2日波の励起/増幅を示唆する。
4日波は、成層圏では春季と秋季に、中間圏では夏至の前後にGPH振幅が大きいという季節変化を示す。解析の結果、中間圏で4日波の波活動が活発な夏至の前と後で励起/増幅の特徴が異なることがわかった。これは、東風ジェットの構造が夏至の前後で大きく異なることに起因すると考えられる。夏至後の4日波の波活動の特徴や平均場との関係は、夏至の準2日波の特徴とよく似ていた。また、夏至の時期には、中間圏では4日波の振幅は小さい。理由としては、夏半球中間圏に存在する渦位の南北勾配が負の領域を囲むように4日波のクリティカルラインが分布し、力学不安定による4日波の増幅が効率的に起こらないことが考えられる。
データ同化システムJAGUAR-DASにより作成された全中層大気を対象とする長期の再解析データ(Koshin et al., 2020; 2022)を用いた。東西波数-周波数の2次元スペクトル解析の結果、中間圏において、準2日波と4日波に対応する孤立的なスペクトルピークが確認された。これら2種類の波成分を抽出し、中層大気全域におけるクライマトロジーを明らかにした。さらに、波と平均流の相互作用の観点から、準2日波と4日波の季節変化のメカニズムについての解析を行った。
中間圏において、準2日波のジオポテンシャルハイト(GPH)の振幅は、夏半球、冬半球共に緯度約30度で極大となる。これらの極大の緯度は古典理論とほぼ一致する。極大値は夏半球で大きい。夏半球中間圏にて準2日波の振幅がより大きい1月の準2日波の波活動と背景場の関係を調べた。その結果、夏半球中間圏には、東風ジェットに起因する渦位の南北勾配が負となる領域が広く分布することがわかった。準2日波に伴うEPフラックスの発散が正の領域は、渦位の南北勾配が負の領域に重なるように分布し、その上部に強い上向きのEPフラックスが分布していた。これらの特徴は準2日波のクリティカルライン付近で特に顕著であった。これらの特徴は、夏半球中間圏における順圧/傾圧不安定よる準2日波の励起/増幅を示唆する。
4日波は、成層圏では春季と秋季に、中間圏では夏至の前後にGPH振幅が大きいという季節変化を示す。解析の結果、中間圏で4日波の波活動が活発な夏至の前と後で励起/増幅の特徴が異なることがわかった。これは、東風ジェットの構造が夏至の前後で大きく異なることに起因すると考えられる。夏至後の4日波の波活動の特徴や平均場との関係は、夏至の準2日波の特徴とよく似ていた。また、夏至の時期には、中間圏では4日波の振幅は小さい。理由としては、夏半球中間圏に存在する渦位の南北勾配が負の領域を囲むように4日波のクリティカルラインが分布し、力学不安定による4日波の増幅が効率的に起こらないことが考えられる。

