日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC27] アイスコアと古環境モデリング

2024年5月29日(水) 09:00 〜 10:15 104 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:齋藤 冬樹(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、植村 立(名古屋大学 環境学研究科)、竹内 望(千葉大学)、川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、座長:川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)

10:00 〜 10:15

[ACC27-05] 第3期ドームふじ深層掘削に向けた準備活動

*川村 賢二1,2,3、永木 毅1中澤 文男1,2、平林 幹啓1津滝 俊1,2、- 第3期ドームふじ観測計画推進委員会、- 南極地域観測 ドーム隊 (1.情報・システム研究機構 国立極地研究所、2.総合研究大学院大学、3.海洋研究開発機構)

キーワード:ドームふじ、氷床コア、南極

南極の氷床から採取される氷床コアの解析から、過去の環境変化を様々な時空間スケールにおいて復元できる。東南極のドームふじではこれまで過去72万年にわたる深層コアが掘削されており、EPICAドームCコアの80万年前に次ぐ長さとなっている(3番目は42万年のボストークコア)。
 約100万年前を境に、氷期-間氷期サイクルの周期が4万年から10万年へと遷移したが(Mid Pleistocene Transition)、その原因やメカニズムは明らかにされていない。その研究に不可欠となる南極氷床コアを採取する「最古の氷床コア」プロジェクトがIPICS(アイスコア研究の国際組織)により提案されている。そういった古い氷床コアは、氷床が岩盤に凍結し、かつ水平流動が遅い場所から得られる可能性が高い。また、古い時代のデータの信頼性を確保するためには、異なる地域から複数のアイスコアを採取し、その結果を比較することが不可欠である。EUおよびオーストラリアのプロジェクトでは、ドームC付近の掘削地点が決定しており、他の国も異なる地点でのアイスコアの掘削を目指している。日本は、南極地域観測隊による6年あまりの氷床探査等の調査および氷床シミュレーション等を経て、ドームふじ周辺における最古級のアイスコア掘削地点を2022年12月に決定し、同地点に「ドームふじ観測拠点II」を設立し、2022−23シーズンにおいて掘削場が建設された。
 2023−24シーズンにおいては、アイスコアの一時貯蔵庫やコア処理場、最終貯蔵庫の建設が進んだとともに、掘削場における深層アイスコアにつながる浅層掘削(126m)や、掘削孔の拡張作業(リーミング)、掘削孔へのケーシングパイプ設置、深層ドリルのマストの組み立てを経て、深層ドリル本体の組み立てまで順調に進んだ。来シーズンからの深層ドリルによる掘削の準備が整ったことになる。