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[ACG36-P16] オイルパーム圃場に見られる草本地域のスペクトルを用いた泥炭土壌含水量の推定手法の開発

キーワード:土壌含水量、草本、泥炭、植生指数、衛星リモートセンシング
東南アジアでは、発生する泥炭火災により年間平均14億トンの温室効果ガスを排出しており、気候変動への寄与が極めて大きいことが指摘されている。また、火災による大気汚染により、住民の呼吸器系疾患の増加や、植物の生育障害をもたらしており、泥炭地域における火災予測が喫緊の課題となっている。泥炭土壌での火災は、植生ばかりか土壌の延焼を引き起こすため、火災予測に向けた第一歩として土壌水分量(SM)の理解が重要である。これまで実測センサーによるSM計測や地下水位計測によるSMの推測は行われてきた一方、泥炭地域は広大であることから、リモートセンシングによるSMの推定が注目されており、特に、表層(0~20 cm)のSM分布の定量把握が重要視されている。
SM把握のためのリモートセンシングとしては、合成開口レーダー、赤外線(1.2~1.5 μm)の反射率、土壌表面温度を用いるもの、土壌スペクトルをベースにした水指標などがあるが、植生に覆われた多くの地域には適用が難しいなどの課題がある。植生に覆われている地域では、植生の正規化植生指数(NDVI)の変化から、SMを推定する方法も提案されているが、NDVIはSM以外の情報も含んでおり、精度は高くない。また草本は根の深さが土壌の深さ20 cm程度になるものが多いが、樹木では1 mを超えることから、指標に反応する速度や対応する土壌層位が異なることがあり、指標精度に影響を与えている可能性がある。
そこで、本研究では、泥炭地域の表層SMに高い相関をもつと期待される草本領域に着目し、地上で計測した土壌水分データと、衛星画像から抽出されたスペクトルをベースに、表層SMと相関の高い演算指標を開発することを目的とする。
インドネシア・スマトラ島の泥炭地のオイルパーム圃場では、HydroProbeセンサーを用いて深さ10~20 cmの土壌水分データが従来から取得されている。Sentinel-2のRGB画像とGediによる樹木の高さ情報を組み合わせて、この地域の草本領域を抽出した。Sentinel-2の4つの異なるバンドを用いて、実測した土壌水分量との相関係数が0.7を超える新指標を考案した(r = 0.786, n = 13, p = 0.0014) 。本研究の結果は、東南アジアの泥炭火災の危険度マッピングに応用できると思われる。
本研究の一部は、公益財団法人電気通信普及財団による「ICTとハンズオンを併用したSDGs課題解決能力を有する人材育成法の開発(滋賀医科大学、2022年度)」の助成および、NPO法人スーパーサイエンティストプログラムプラスによる支援を受けた。
SM把握のためのリモートセンシングとしては、合成開口レーダー、赤外線(1.2~1.5 μm)の反射率、土壌表面温度を用いるもの、土壌スペクトルをベースにした水指標などがあるが、植生に覆われた多くの地域には適用が難しいなどの課題がある。植生に覆われている地域では、植生の正規化植生指数(NDVI)の変化から、SMを推定する方法も提案されているが、NDVIはSM以外の情報も含んでおり、精度は高くない。また草本は根の深さが土壌の深さ20 cm程度になるものが多いが、樹木では1 mを超えることから、指標に反応する速度や対応する土壌層位が異なることがあり、指標精度に影響を与えている可能性がある。
そこで、本研究では、泥炭地域の表層SMに高い相関をもつと期待される草本領域に着目し、地上で計測した土壌水分データと、衛星画像から抽出されたスペクトルをベースに、表層SMと相関の高い演算指標を開発することを目的とする。
インドネシア・スマトラ島の泥炭地のオイルパーム圃場では、HydroProbeセンサーを用いて深さ10~20 cmの土壌水分データが従来から取得されている。Sentinel-2のRGB画像とGediによる樹木の高さ情報を組み合わせて、この地域の草本領域を抽出した。Sentinel-2の4つの異なるバンドを用いて、実測した土壌水分量との相関係数が0.7を超える新指標を考案した(r = 0.786, n = 13, p = 0.0014) 。本研究の結果は、東南アジアの泥炭火災の危険度マッピングに応用できると思われる。
本研究の一部は、公益財団法人電気通信普及財団による「ICTとハンズオンを併用したSDGs課題解決能力を有する人材育成法の開発(滋賀医科大学、2022年度)」の助成および、NPO法人スーパーサイエンティストプログラムプラスによる支援を受けた。