[A-CG38] 沿岸海洋生態系－2．サンゴ礁・藻場・マングローブ

[ACG38-P02] サンゴ礁生態系の海草藻場における鉱物・有機物粒子の捕集・保持力の評価

*梅林 奎輔¹、梅澤 有¹、佐藤 允昭³、宮田 達¹、上羽 涼太郎¹、鈴木 健斗¹、呂 晗¹、杉原 創¹、宮島 利宏² (1.東京農工大学、2.東京大学大気海洋研究所、3.国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所)

キーワード：赤土、海草、漂砂トラップ、石膏球

亜熱帯から熱帯地域では、沿岸域への陸上土壌 (赤土) 流出によるサンゴ礁生態系への悪影響がたびたび報告されている。一方で、海草藻場は堆積物を安定化させる作用 (底質安定化機能) があり、沿岸へ到達した赤土はこれによって保持され、サンゴ礁生態系への影響を緩和している可能性がある。しかし、海草藻場が赤土をどれほど保持しているのかについて、定量的に議論を行った研究は少ない。本研究では、赤土流出が問題となっている沖縄県石垣島およびパラオ共和国オギワル州沿岸と赤土流出の報告がない沖縄県備瀬海岸において、陸域から運搬されたり、藻場内で再懸濁したりした鉱物粒子および有機物を漂砂トラップを用いて捕集し、それが海草帯と裸地でどれほど違いがあるのかを測定した。
室内実験で行われた先行研究では、裸地に比べ海草帯の方が捕集物質量が多くなる傾向にあったが、野外で行われた本研究では逆の傾向もみられた。また、石膏球によって付近の物理量（流速や乱流の大きさを反映）を求めたが、全ての結果を含めたデータでは物理量と捕集物量との間に相関は見られず、 粒径やサンゴ片量などの底質環境や海草の種などが捕集物質量に与える影響が大きい可能性が示唆された。