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[ACG39-05] 大阪湾における有色溶存有機物(CDOM)の鉛直分布と分解特性
キーワード:沿岸域、有色溶存有機物、難分解性有機物、易分解性有機物
陸起源物質の沿岸海域内での動態は複雑であり,それが沿岸海域を経由して沖合まで輸送される過程を定量化するにあたっては多くの課題がある.本研究では腐植物質を主成分とする有色溶存有機物をトレーサーとして用いて陸起源物質の沖合への流出経路を明らかにし,沿岸海域における陸起源物質の収支を求めていくために,大阪湾における有色溶存有機物の鉛直分布の季節変化を調べるとともに,100日間の有機物分解実験を行なってその分解特性を明らかにすることを目的とする.
2023年5,8,11月に,大阪湾の合計12地点において, 表層,深度5m,10m,20m,底上1mから採水を行ない,大阪湾に流入する淀川,大和川の表層を採取した.各地点においてCTD(JFE Advantech ASTD)を降下させて水温,塩分,クロロフィル,溶存酸素濃度を測定し,採水した各層の水にCDOMロガー(PME Cyclops7)を入れて値を測定した.各サンプルは2セットずつ取得して,1セットは船上濾過または下船後4時間以内に濾過を行ない, 1セットは採水時水温に設定した恒温器内に置き100日後に濾過を行なった.得られたサンプルの溶存有機態炭素(DOC)および443 nmにおける有色溶存有機物光吸収係数ay(443)を算出した(以下,CDOM).
5,8月に採取した河川水のCDOMは100日後に2-3割減少しており,易分解性の有色溶存有機物が含まれることが示唆された.一方,5月の海域におけるCDOMについては,各地点,各層において,当日に濾過したサンプルと100日後に濾過したサンプルとの間に差はなく,大阪湾に存在する有色溶存有機物はほぼ難分解性であると考えられた.今回の観測地点のうち最も陸側の地点は河口から約7km離れており,河川から供給される易分解性のCDOMはこれより内側の領域で分解されていることが示唆された.8月については100日後 のCDOMが湾奥で2-3割,湾央から湾口において4-5割程度減少する結果となり,海域にも易分解性の有色溶存有機物が比較的多く存在することが示唆された.
2023年5,8,11月に,大阪湾の合計12地点において, 表層,深度5m,10m,20m,底上1mから採水を行ない,大阪湾に流入する淀川,大和川の表層を採取した.各地点においてCTD(JFE Advantech ASTD)を降下させて水温,塩分,クロロフィル,溶存酸素濃度を測定し,採水した各層の水にCDOMロガー(PME Cyclops7)を入れて値を測定した.各サンプルは2セットずつ取得して,1セットは船上濾過または下船後4時間以内に濾過を行ない, 1セットは採水時水温に設定した恒温器内に置き100日後に濾過を行なった.得られたサンプルの溶存有機態炭素(DOC)および443 nmにおける有色溶存有機物光吸収係数ay(443)を算出した(以下,CDOM).
5,8月に採取した河川水のCDOMは100日後に2-3割減少しており,易分解性の有色溶存有機物が含まれることが示唆された.一方,5月の海域におけるCDOMについては,各地点,各層において,当日に濾過したサンプルと100日後に濾過したサンプルとの間に差はなく,大阪湾に存在する有色溶存有機物はほぼ難分解性であると考えられた.今回の観測地点のうち最も陸側の地点は河口から約7km離れており,河川から供給される易分解性のCDOMはこれより内側の領域で分解されていることが示唆された.8月については100日後 のCDOMが湾奥で2-3割,湾央から湾口において4-5割程度減少する結果となり,海域にも易分解性の有色溶存有機物が比較的多く存在することが示唆された.