16:30 〜 16:45
[ACG40-10] 風波の再現に向けた気液二相流数値モデルの開発

キーワード:風波、気液二相流
洋上に吹く風により生じた小さな波は風からエネルギーを受け取りながら発達し続け、次第に大きな波に成長していく。この波は海洋の風波とよばれ、大気海洋境界を通じて運動量や熱、物質(CO2 など)の交換に影響をもたらすため、ローカルあるいはグローバルな気候変動において重要な役割を果たす。したがって、風波による大気海洋間の様々な相互作用の理解は、波浪や気象現象などの予測精度の向上に不可欠である。
風波は長年にわたり観測的・実験的あるいは理論的な観点から多くの研究がなされてきた。例えば、風からの運動量輸送による風波の発達理論としてMiles (1957) やその改良理論(1993) などがあり、これはPlant(1982) がまとめた発達率に関する計測データによく一致する。しかし、観測・実験においてデータの散乱が大きいことや、理論において大気側の乱流について明らかになっていないために数多くの仮定がなされているなど、多くの問題が残っている。また、砕波の効果を精密に考慮できていないという問題も残されている。砕波を表現可能な数値モデルを用いた気液二相流シミュレーションが実施できれば、これらの問題を大きく前進させることが可能になると考えられる。
本研究では、砕波を伴う風波における大気海洋間の相互作用を理解するために、Matsushita and Aoki (2021) を参考に、弱圧縮性ナビエストークス方程式を数値的に解く2相流モデルを構築した。これは、非圧縮流体を低マッハ数の圧縮性流体として解くため、非圧縮条件から得られる収束性の悪いポアソン方程式を解く必要がなく、完全に陽的な計算を行える手法である。また、気相・液相の表現としてはフェイズフィールド法とレベルセット法をカップリングした手法を用いて計算した。
構築したモデルの検証のため、いくつかのベンチマーク実験を行なった。2次元ダムブレーク実験では、Martin and Moyce (1952)の水槽実験と比較したところ、崩壊する水柱の形状はよい一致が見られた。Rayleigh-Taylor不安定の実験も行い界面形状を調査したところ、その時間発展を大まかに再現することができた。講演時には、実際の風と波の相互作用を想定した数値実験の結果を示すとともに、モデルの再現精度や計算効率、克服すべき課題について報告する。
風波は長年にわたり観測的・実験的あるいは理論的な観点から多くの研究がなされてきた。例えば、風からの運動量輸送による風波の発達理論としてMiles (1957) やその改良理論(1993) などがあり、これはPlant(1982) がまとめた発達率に関する計測データによく一致する。しかし、観測・実験においてデータの散乱が大きいことや、理論において大気側の乱流について明らかになっていないために数多くの仮定がなされているなど、多くの問題が残っている。また、砕波の効果を精密に考慮できていないという問題も残されている。砕波を表現可能な数値モデルを用いた気液二相流シミュレーションが実施できれば、これらの問題を大きく前進させることが可能になると考えられる。
本研究では、砕波を伴う風波における大気海洋間の相互作用を理解するために、Matsushita and Aoki (2021) を参考に、弱圧縮性ナビエストークス方程式を数値的に解く2相流モデルを構築した。これは、非圧縮流体を低マッハ数の圧縮性流体として解くため、非圧縮条件から得られる収束性の悪いポアソン方程式を解く必要がなく、完全に陽的な計算を行える手法である。また、気相・液相の表現としてはフェイズフィールド法とレベルセット法をカップリングした手法を用いて計算した。
構築したモデルの検証のため、いくつかのベンチマーク実験を行なった。2次元ダムブレーク実験では、Martin and Moyce (1952)の水槽実験と比較したところ、崩壊する水柱の形状はよい一致が見られた。Rayleigh-Taylor不安定の実験も行い界面形状を調査したところ、その時間発展を大まかに再現することができた。講演時には、実際の風と波の相互作用を想定した数値実験の結果を示すとともに、モデルの再現精度や計算効率、克服すべき課題について報告する。