[A-CG43] 陸域から沿岸域における水・土砂動態

[ACG43-03] 植生の根茎模型を用いた土砂移動におよぼす影響に関する水理実験

*山本 阿子¹ (1.防衛大学校)

キーワード：植生模型、水理実験、土砂移動、根茎

海岸砂丘面における飛砂防止対策として海岸植生による被覆が効果を発揮することは知られている．しかし，海岸周辺は強風だけでなく津波や近年増加する巨大化した台風による高潮による波の影響を受ける．また，局所的なゲリラ豪雨により砂丘面を流下する流れによる浸食が原因となり海岸の土砂流出が加速することが懸念されている．我々はこれまで植生の葉部による砂丘面の表面の被覆により，波に対する土砂捕捉効果がどの程度影響するかについて検討してきた．しかしながら，季節に応じて葉部は枯死するなど変化が著しいことや，浸食を伴う土砂流出は表面の葉部だけでなく根茎の影響も大きいと考えられる．
よって本研究では，土中の根茎量に着目し浸食（洗堀）過程において根茎による土砂捕捉効果の影響を明らかにするために模型を用いた水理実験を実施した．模型は竹串を用いた2種類（以下，模型Ⅰと模型Ⅱ）とポリプロピレンを用いて１種類（以下，模型Ⅲ），合計３種類作成した．模型Ⅰは地表面から地中に直下方向に直立した模型，模型Ⅱは地表面から地中に向けて放射上に広がる形状をした模型とした．模型Ⅲは海岸に分布するイネ科の植物の根茎の形状を参考に作成した．これらの模型を二次元造波水槽内の砂床区間に埋没させ，高潮や津波先端を模した段波を連続で３波発生させた．波ごとに砂床区間から流出する土砂移動量と最大洗堀深を測定した．
その結果，根茎の土中内の密度や分布により土砂移動量が影響を受けることが分かった．条件によっては複数回波の影響を受け，根茎が露出する過程で根茎による土砂捕捉効果が変化することが確認できた．