11:15 〜 11:30
[ACG43-08] 海洋・河川・流出統合レイヤーモデル JORROを用いた陸域の解析結果の、既存の水文モデルと観測流量との比較
キーワード:水文モデル、海洋モデル
淡水・海水・地表からの栄養塩が混ざり合う汽水域・沿岸域の生態系評価のためには、河川・海洋における水の振る舞いを解析する必要がある。従来は異なる河川モデルと海洋モデルを組み合わせることで計算が行われていたが、その境界における水の流れは十分に把握できていなかった。本発表で用いている海洋・河川・流出統合レイヤーモデル「JORRO」では、陸域・海洋両方における水の流れを解析することができる。しかし、既存の水文モデルと比べると、陸域における解析精度の検証は十分に行われておらず、土地利用・地下水による影響の導入も進んでいない。本発表では、JORROによる陸域における流量の解析結果を水文モデルCDRMV3.3.1や観測流量と比較する。
JORROは海洋層厚モデルを元に、淡水と海水は密度の違いから別の層と見做しており、陸域では一層、海域では二層のモデルとなっている。シンプルなモデルのため、他の領域への応用や入力データによる計算結果の論理的は評価が行いやすい。一方の既存の水文モデルであるCDRMV3.3.1は土壌を三層に分けてモデル化しており、地表流出だけではなく中間流を考慮した計算を行うことができる。ただし、各層の厚さや空隙率などのパラメータは観測流量とのキャリブレーションによって同定されるため、流量の再現性は高いが異なる計算への流用が難しいという課題がある。
解析は熊本の白川を対象としており、台風時のレーダアメダスによる降雨データを使用した。白川はカルデラ内部のなだらかな地形と、立野における急な斜面、熊本市街地でのなだらかな地形を流れており、川の流れが常流・射流・常流と変化する様子を解析できる地形であり、JORROではこの様子を捉えることができた。中流域の流量観測点では、観測流量と同様の2回のピークを再現し、適化前のCDRMV3.3.1の結果と比べると、降雨からの応答はより観測流量に近くなっている。しかし、その絶対値や減衰には乖離が見られる。本発表ではその原因や解決策について詳細を述べる。
JORROは海洋層厚モデルを元に、淡水と海水は密度の違いから別の層と見做しており、陸域では一層、海域では二層のモデルとなっている。シンプルなモデルのため、他の領域への応用や入力データによる計算結果の論理的は評価が行いやすい。一方の既存の水文モデルであるCDRMV3.3.1は土壌を三層に分けてモデル化しており、地表流出だけではなく中間流を考慮した計算を行うことができる。ただし、各層の厚さや空隙率などのパラメータは観測流量とのキャリブレーションによって同定されるため、流量の再現性は高いが異なる計算への流用が難しいという課題がある。
解析は熊本の白川を対象としており、台風時のレーダアメダスによる降雨データを使用した。白川はカルデラ内部のなだらかな地形と、立野における急な斜面、熊本市街地でのなだらかな地形を流れており、川の流れが常流・射流・常流と変化する様子を解析できる地形であり、JORROではこの様子を捉えることができた。中流域の流量観測点では、観測流量と同様の2回のピークを再現し、適化前のCDRMV3.3.1の結果と比べると、降雨からの応答はより観測流量に近くなっている。しかし、その絶対値や減衰には乖離が見られる。本発表ではその原因や解決策について詳細を述べる。