[A-CG47] 全球海洋観測システムの現状と将来：OneArgoの実現と展望

[ACG47-P06] OneArgoとその構築に向けたJAMSTECの現場戦略

*細田 滋毅^1,2、藤木 徹一^1,2、川合 義美¹、小林 大洋¹、井上 龍一郎¹、佐藤 佳奈子^1,2、平野 瑞恵¹、纐纈 慎也^1,2、増田 周平¹、須賀 利雄^1,2,3 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構、2.変動海洋エコシステム高等研究機構、3.東北大学大学院理学研究科)

キーワード：OneArgo、UN Decade

OceanObs19において提唱されCWPとして出版されたOneArgoは、上層2000mの水温・塩分を計測するCore Argoの全球フロート観測網を、熱帯域や西岸境界流付近の重点海域の観測密度を上げつつ深海（Deep）および季節海氷域（Polar）、縁辺海まで網羅し、生物地球化学（BGC）変数（酸素、硝酸塩、pH、クロロフィルa、懸濁粒子、下向き放射照度）の各観測ミッションに拡張した全球海洋観測計画である。2021年開始の国連海洋科学の10年（UN Decade）のProjectに採択され、国際Argoを運営するAST（Argo運営チーム）では2030年までにそれぞれのミッションが目標とする稼働フロート空間密度を実現することを目指している。同時に基盤的海洋観測網として不可欠なデータの即時・遅延品質管理を実施するシステマティックなデータフローおよび品質管理システムを構築し、現在もDeep、BGC変数をはじめとしてデータ品質管理手法の高度化の努力が続けられている。
JAMSTECでは、OneArgo観測網を維持、発展させるために主に北太平洋、南大洋の外洋域を中心にしてCore, Deep, BGC Argoフロート展開を実施、さらに太平洋Argo地域センター（PARC）を運用し、広く太平洋域のフロート稼働・投入状況の監視、データの遅延品質管理を担っている。さらに次世代のArgoを含む海洋観測網の構築・整備に向けて、基礎生産の精緻な推定が可能なフロート搭載型高速フラッシュ励起蛍光光度計（FRRF）などの新たなBGCセンサー開発、乱流センサー搭載フロートを全球展開する計画（ArgoMIX）に向けた準備を行っている。このような次世代Argo観測には、センサーそのものの精度だけでなく、その長期安定性、出力データ品質管理手法の高度化も必要であり、複雑さと作業負担の著しい増加に対応する将来に向けた課題は避けて通れない。講演では、船舶、係留、衛星観測との連携を含め、OneArgoとそれをとりまく統合的海洋観測網の現状について説明し、JAMSTECがこれらの課題にどのように取り組んでいるかについて紹介する。