日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW18] 水循環・水環境

2024年5月29日(水) 09:00 〜 10:30 201A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:小槻 峻司(千葉大学 環境リモートセンシング研究センター)、林 武司(秋田大学教育文化学部)、福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター)、濱 侃(千葉大学大学院園芸学研究院)、座長:福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター)

10:15 〜 10:30

[AHW18-06] Scratchを用いた降雨流出モデリングゲームの開発と水文学教育への応用

★招待講演

*山崎 大1、岡田 実奈美1、矢澤 大志1 (1.東京大学生産技術研究所)

キーワード:水文学教育、Scratch、降雨流出プロセス、体験型ゲーム

流域水循環を初等・中等教育で教えることは,水文学に興味を持つ学生を増やす,水災害や流域マネジメントへのリテラシーを高める,という点で重要と考えられる.カリキュラムを考慮すると流域水循環を短時間で効率的に教える必要があるが,降雨流出過程は多様な現象が相互作用する複雑なシステムであるため,記憶に残りやすい体験型教育ツールの開発は難しかった.本研究では,教育用プログラム言語Scratchを用いて視覚的に分かりやすい降雨流出モデルを構築し,地表面状態のキャリブレーションをゲームとして体験できるツールを開発した.東京大学生産技術研究所オープンキャンパスにて都市化と洪水に着目したワークショップを行い,講義形式の説明に加えて体験型ゲームに取り組むことが降雨流出プロセスの理解を深めるか分析した.その結果,都市化すると洪水が増えるという定性的な理解は講義形式でも深められるが,都市化の度合いによって流出ピークの量やタイミングが変わるという定量的な理解には自ら条件を変えた実験をするゲーム体験が効果を持つと示唆された.また,若年齢なほど講義形式よりも体験型ゲームによって理解が深まりやすいことも確認された.