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[AHW24-P08] 地熱流体の水質形成プロセス把握における独立成分分析の有効性
キーワード:地熱流体、地下水、水質形成、独立成分分析
気候変動対策として温室効果ガスの排出量削減が求められる中で,二酸化炭素排出量が少なく,出力が安定しているなどの利点を有する地熱エネルギーのさらなる活用が望まれる。地熱発電を始めとして,地熱の利用形態の多くでは地熱流体が有する熱を利用する。そのため,地熱を持続的に利用するためには地熱流体の枯渇を防ぐことが必要であり,地熱系にどのように水が涵養され,どのように流動しているのかなど,地熱流体の循環状態の理解が重要となる。同位体組成を含む地熱流体の地球化学特性は,地熱流体の起源や,起源の異なる水の混合,流動経路に分布する岩石との水―岩石反応,水の相変化など地熱流体が経験した種々の水質形成プロセスの結果であることから,地熱流体の循環状態を推定する上で役立つ。試料分析で得られる地球化学データから地熱流体が経験したプロセスに関する情報を抽出する方法として,発表者らは教師なし学習法の一種である独立成分分析(Independent Component Analysis,ICA)に注目している。発表者らによるこれまでの検討で,混合した水の濃度データにICAを適用することで混合前の水の組成を推定できる可能性が示されたが,混合以外の水質形成プロセスの影響についてもICAで識別できるかどうかついては明らかとなっていない。そこで本発表では,地球化学モデリングコードであるPHREEQCを用いて,水質形成プロセスが既知の地熱流体の濃度データを生成し,それらに独立成分分析を適用することでどの程度水質形成プロセスを推定できるか検討する。以上を通して,地下水や地熱流体の水質形成プロセスの把握における,独立成分分析の有効性について議論する。