日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS11] 陸域海洋相互作用ー惑星スケールの物質輸送

2024年5月27日(月) 10:45 〜 12:00 106 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:山敷 庸亮(京都大学大学院総合生存学館)、佐々木 貴教(京都大学 大学院理学研究科 宇宙物理学教室)、Behera Swadhin(Climate Variation Predictability and Applicability Research Group, Application Laboratory, JAMSTEC, 3173-25 Showa-machi, Yokohama 236-0001)、升本 順夫(東京大学大学院理学系研究科)、座長:Behera Swadhin(Climate Variation Predictability and Applicability Research Group, Application Laboratory, JAMSTEC, 3173-25 Showa-machi, Yokohama 236-0001)、升本 順夫(東京大学大学院理学系研究科)

10:45 〜 11:00

[AOS11-07] 水中環境を活用した微重力宇宙空間の適応訓練と教育

★招待講演

*森 裕和1 (1.Blue Abyss Diving Ltd.)

キーワード:有人宇宙、水中、海洋、中性浮力、微重力

英Blue Abyss社(以下Blue Abyss)は、宇宙における人類の活動の拡大を維持するために必要な、将来の宇宙および地上での支援を準備するための訓練施設を開発している。Blue Abyssの3つの主な訓練施設は、1Gから12Gまでのさまざまな重力レベルでの訓練を行うための長腕遠心分離機、0Gから3Gまでの無重力、部分重力、過重力レベルでの訓練を行うための航空機によるパラボリックフライト、3mから50mまでのプラットフォームを備えた深海ダイビングプールであり、水深12mに配置予定のアストロラボ・プラットフォームでは、特別に適合させた浮力装置を用いて、宇宙空間の0G、月の0.16G、火星の0.4Gを模擬した水中加圧モジュール内でクルーが生活・作業する短期から長期のシミュレーションを行うことができる。

これらの施設は、さまざまな重力レベルでテストされる認知的・身体的要素を備えた、完全に統合された訓練機会を提供する。
人間用超腕遠心分離機は、打ち上げと帰還訓練のために高重力への曝露を提供する。専用のモックアップを備えた航空機のパラボリックフライトは、軌道上や「地球外」での慣熟のための幅広い研究、運用試験、訓練能力を提供する。船外活動(EVA)は、アストロラブ・プラットフォームの設備を使ってプール内でシミュレーションとリハーサルを行う。0G船外活動のシミュレーションは、地球低軌道の軌道宇宙ステーションからの船外活動や、将来的には月面ゲートウェイステーションからの船外活動を訓練するために実施される。月や火星など、地球外の惑星表面基地からの船外活動を訓練するために、部分的g船外活動のシミュレーションを実施する。

これらの施設や、通常使用することが困難な施設を利用した入念な準備により、宇宙ミッションの手順やプロトコルを慎重かつ安全に実践することが可能になる。
商業有人宇宙セクターの拡大・運営に必要な宇宙と地上の労働力は、世界各地にあるBlue Abyssのセンターで準備・訓練される予定である。現在、2つのセンターが検討されている。1つ目はイギリスの南西部コーンウォール、2つ目はアメリカのオハイオ州クリーブランドである。

両センターの話し合いは進んでおり、施工開始は2024年以降にかけての予定である。
本稿では、Blue Abyssが追求する統合トレーニング・アプローチと、英国と米国のセンターの状況について紹介する。