13:45 〜 14:00
[AOS14-01] 台風通過時の海洋混合と海面水温低下:PWPモデルによる再現とLESに基づく精度検証

キーワード:台風、PWPモデル
台風は暖かい海面から放出される潜熱エネルギーを得て発達する。一方で、発達した台風による強風は海面下に強い乱流を発生させ、亜表層の冷水との混合を引き起こすことで海面水温を低下させる。これは台風の発達を抑制するように働く。このような台風と海洋の相互作用を再現し、台風の発達から減衰までのライフサイクルを精度よく予測するには、台風による海洋表層の混合およびそれに付随する海面水温低下を適切に表現する海洋混合モデルが必要である。
近年、気象庁の現業台風予測システムに海洋モデルとしてPWPモデル(Price et al.1986)が導入された結果、予測精度が向上した事例があると報告されている(気象庁数値予報開発センター年報、2021)。この結果は、海洋混合が台風の発達に与える影響を明示すると同時に、台風の予測に及ぼす海洋混合モデルの重要性を示すものである。しかしながら、このPWPモデルが採用する混合パラメタリゼーションは粗く、実際の複雑な海洋中の混合過程をどの程度の精度で再現しているのか不明である。この問題は、海洋混合モデルと台風の予測精度を検討するうえで重要であると考える。
そこで本研究では、成層した海洋上を通過する台風による海洋表層の混合とそれに付随する海面水温の低下を、鉛直1次元のPWPモデルを用いて再現し、さらにより再現精度の高い3次元のLarge-eddy simulation(LES)でも再現し、両者を比較することでPWPモデルの再現精度を調査した。ただしLESによる結果を真値とした。様々な台風移動速度、海洋の成層強度、緯度を対象に実験を行った結果、ほぼ全ての場合でPWPモデルは海面水温低下を過大評価することが分かった。また、その差は台風の移動速度が速い場合や成層強度の強い場合に大きくなることが判明した。この傾向の原因については講演時に述べる予定である。
近年、気象庁の現業台風予測システムに海洋モデルとしてPWPモデル(Price et al.1986)が導入された結果、予測精度が向上した事例があると報告されている(気象庁数値予報開発センター年報、2021)。この結果は、海洋混合が台風の発達に与える影響を明示すると同時に、台風の予測に及ぼす海洋混合モデルの重要性を示すものである。しかしながら、このPWPモデルが採用する混合パラメタリゼーションは粗く、実際の複雑な海洋中の混合過程をどの程度の精度で再現しているのか不明である。この問題は、海洋混合モデルと台風の予測精度を検討するうえで重要であると考える。
そこで本研究では、成層した海洋上を通過する台風による海洋表層の混合とそれに付随する海面水温の低下を、鉛直1次元のPWPモデルを用いて再現し、さらにより再現精度の高い3次元のLarge-eddy simulation(LES)でも再現し、両者を比較することでPWPモデルの再現精度を調査した。ただしLESによる結果を真値とした。様々な台風移動速度、海洋の成層強度、緯度を対象に実験を行った結果、ほぼ全ての場合でPWPモデルは海面水温低下を過大評価することが分かった。また、その差は台風の移動速度が速い場合や成層強度の強い場合に大きくなることが判明した。この傾向の原因については講演時に述べる予定である。