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[BPT02-06] 浮遊性有孔虫Orbulina universaの殻の長期的・短期的Mg/Ca変動
キーワード:浮遊性有孔虫、Mg/Ca比、地球化学、海底堆積物、国際深海科学掘削計画、レーザーアブレーション
海底堆積物中に保存される浮遊性有孔虫の殻は過去の海洋表層環境を⻑期スケールで保存できる優良な記録媒体である。例えば、殻のMg/Ca比は海洋表層水温を記録でき、古気候研究において幅広く用いられている。本研究では、国際深海科学掘削計画(IODP)の第361次航海において⻄インド洋から採取された海底堆積物コア(Site U1476)の浮遊性有孔虫Orblina universa(500〜850 μmの殻サイズ)に対する様々な地球化学分析結果のうち、Mg/Ca比について重点的に報告する。O. univesaの殻のMg/Ca比は海水のMg/Ca比変動を強く反映して、過去700万年の間にわたる⻑期的な増加傾向を示したが、それを加味しても、復元水温が他の手法を用いた復元水温と比較しても15度程度低く見積もられた。殻が部分溶解している可能性を考え、SEM、Micro-X線CT、レーザーアブレーションICPMSを用いて殻表面や殻内部の物理構造、さらには殻内部の元素濃度分布について調べたところ、過去700万年間の間に殻の厚さが約半分になっており、元素(ここでは特にMg)の取り込みの仕方が経年変化している可能性が示唆された。

