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[G01-P03] インドネシアと日本の教育学部大学生の巨大地震の記憶・知識のアンケート調査
-阪神淡路大震災、東日本大震災、スマトラ島沖地震に関して-
キーワード:防災教育、減災教育、巨大地震、アンケート調査、東日本大震災、スマトラ島沖地震
2024年は、兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)M7.3から29年、スマトラ島沖地震M9.1から20年、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)M9.0から13年が経過する。阪神淡路大震災は震度7が初めて気象庁で観測され、内閣府の最終報告によると6434人の人命が失われた。スマトラ島沖地震と東日本大震災はプレート型の地震が発生し、スマトラ島沖地震では30万人以上、東日本大震災では約2万人の死者・行方不明にのぼった。インドネシアと日本はこれらの大規模地震経験から、フォーマルまたはインフォーマル教育において防災・減災の教育が推進されている。今回の研究では、92人のインドネシアの国立大学教育学部大学生(科学)、85人の日本の東海地方国立大学教育学部大学生(理科以外)、8人の日本の東海地方私立大学教育学部大学生(理科)を対象に、地震災害の知識・記憶に関するアンケート調査を行った。まず、インドネシアの調査結果では、彼らのスマトラ島沖地震M9.1(2004年)発生時の年齢は、2歳前後であった。5段階アンケートの結果、生徒の50%(n=43/84)が「1:全く覚えていない」または「2:あまり覚えていない」と回答し、49%(n=43/88)が地震のビデオを見たことがないと回答した。地震のメカニズムを説明できるか尋ねると、42%(n=37/88)が1と2の「できない」または「難しい」と回答した。次に日本の教育学部理科以外の学生の調査結果では、東日本大震災の年齢が8歳前後であり、東日本大震災について「2:あまりあまり覚えていない」、「1:覚えていない」が5%(n=4/85)、反対に「5:とても覚えている」、「4:よく覚えている」が88%(n=75/85)となり、100%(n=85)の学生が動画を見た事があると答えた。一方、阪神淡路大震災は、彼らが生まれる前であり、「知っていますか」と質問したところ、「3:知っている」が最も高く48%(n=41/85)、「5:とても知っている」、「4:よく知っている」が20%(n=17/85)、「2:あまり知らない」、「1:知らない」が31%(n=27/85)と回答し、動画を見た事ない学生が34%(29人)となった。地震のメカニズムを説明できるか尋ねると、35%(n=30/85)の学生が1と2の「できない」または「難しい」と回答した。最後に日本の教育学部理科の学生の調査結果では、先ほどと同年代であり、東日本大震災について1と2が0%で100%(n=8)が動画を見た事があると答えた。一方阪神淡路大震災に関しては、2と3「あまり知らない」「知っている」が7人(内訳:2を回答3人;3を回答4人)となり、4「よく知っている」が1人で、5「とても知っている」と1「全く知らない」の選択者はいなかった。阪神淡路大震災の動画は8人中2人が観たことが無いと答えた。最後にインドネシアと日本の両方の学生らに共通した質問として、「理学」の学会に行ける機会があったら参加してみたいか?を質問した結果、3~5(参加してみたい)を選んだインドネシアの学生が83%(n=71/85)、日本の教育学部理科以外の学生が63%(n=54/85)、日本の教育学部理科の学生が75%(n=6/8)となった。これらの結果から、震災から年月が経つにつれて、記憶や知識の風化が起きていることが示された。これらを防ぐためには、動画等を教材として使用することや防災・減災の教育を継続しなければならない事が示された。なお本研究は調査対象人数が少ない為、今後さらなる調査を行うことを計画している。