日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-02] 地球惑星科学のアウトリーチ・実践と理論

2024年5月26日(日) 15:30 〜 16:45 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:玉澤 春史(東京大学生産技術研究所)、塚田 健(平塚市博物館)、寺薗 淳也(合同会社ムーン・アンド・プラネッツ)、座長:寺薗 淳也(合同会社ムーン・アンド・プラネッツ)、玉澤 春史(東京大学生産技術研究所)

16:00 〜 16:15

[G02-07] StarformationBoardgameProject:天文学普及ツールの開発報告と開発過程における参加者の反応

*三浦 飛未来1,2、深瀬 雅央3玉澤 春史5,4 (1.明星大学、2.インター宙ぽレーション、3.雅ゲームス、4.京都市立芸術大学、5.東京大学)

キーワード:星形成、教育、普及

教育普及・科学コミュニケーションの現場ではデジタルなものからアナログなものまで様々なコンテンツが開発・使用される。コンテンツを目的によって適切に選択し使い分けることは、教育普及の質を向上させることに 繋がる。これらの中にはコミュニケーターや研究者が介在せず、利用者が独立して利用出来るものがある。しか し、これまでは教育目的で開発されること、教育現場で指導者がいる空間で使用することが前提とされたものが多かった。発表者らは天文学の普及を目的とし、利用者が独立して天文学に親しめるコンテンツを開発するプロジェクトを進めている。このプロジェクトでは、科学普及を効果的に行う方法の一つである『異分野との融合』に注目した。これは、アプローチする対象の裾野を広げ、無関心層者の入口となることが期待できる。この異分野の題材として、利用者が主体的にルールを理解し行動するという特性からボードゲーム という題材に着目した。ボードゲームは老若男女問わず遊べる敷居の低さ、利用者の能動性が高いことが特徴に挙げられる。また、楽しみながら科学に触れることができるため、無関心層から関心層への引き上げが期待できる。しかし、天文学をモチーフにしたボードゲームは過去に様々なものが開発されているが、教育内容を重視するために利用者が独立して利用する場合を考慮せず結果として利便性 (娯楽性) が必ずしも高くない場合や、反対に娯楽性を重視するために天文学的内 容の精確性が高くない場合がある。そこで、今回は普及を重視するため、学習を目的としたシリアスゲームではなくエンターテインメントに特化したものにしつつ、制作段階に研究者が介入することで双方向からのアプローチが出来るものを目指す。本作品ではパターンが多くゲーム展開に反映しやすい星形成をテーマにした。ゲームのルールを把握した人は星形成の知識を理解しやすくなり、星形成の知識を有する人はルールが理解しやすいという構造である。これまでこのプロジェクトでは、専門家を交えたテストプレイを実施し記録をしてきた。中には、天文学会年会にて会合といった試遊を目的とする場ではない場に赴き実施したケースもある。本発表ではこの星形成を題材にしたボードゲームの制作に関する経過報告をするとともに、現時点でのボードゲームの内容を紹介する。また、年会での試遊についても触れる。