日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-02] 地球惑星科学のアウトリーチ・実践と理論

2024年5月26日(日) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:玉澤 春史(東京大学生産技術研究所)、塚田 健(平塚市博物館)、寺薗 淳也(合同会社ムーン・アンド・プラネッツ)

17:15 〜 18:45

[G02-P03] 地球温暖化の最前線・北極の教育・アウトリーチ活動

★招待講演

*毛利 亮子1、上曽 由紀江1宮岡 宏1 (1.国立極地研究所)

キーワード:北極、地球温暖化、認知度、連携、教材、科学コミュニケーション

北極は地球温暖化の影響を最も大きく受けている地域のひとつである。海氷の急速な減少を始めとした北極の自然環境の急激な変化は、日本を含む地球全体の環境や生態系にも大きな影響を与えることが科学的に指摘されている。国立極地研究所が代表機関を務める北極域研究のナショナルフラッグシッププロジェクト・北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)は、北極に関する先進的・学際的研究を推進し、その社会実装を目指している。それに加え、教育・アウトリーチ活動を重点的に推進することで、北極を含む地球環境問題に関心を持つ人々の拡大や、将来研究者を目指す人材の育成を目指している。

まず我々は、社会における北極や北極域研究の認知度を調査する目的で、10代から70代の一般市民1000人を対象にインターネット意識調査を実施した。調査内容は、北極や地球温暖化に関する基礎知識、関心度、研究への期待などから、調査参加者の意識や生活様式に至るまで多岐にわたった。本報告では、調査の概要紹介に加え、北極にまつわる誤解、世代間の意識の差、日本の北極域研究への期待など、調査結果から見えてきた傾向について考察する。

現在は、意識調査の結果と科学コミュニケーションの視点を踏まえ、様々なステークホルダーと連携することで、北極や北極域研究についての認知度向上に向けた取り組みを進め、将来の北極研究者の育成につながる学校教育を超えた教育機会の提供を続けている。本報告では、ウェブサイトの運営、教育機関や社会教育施設との連携、北極教材の開発・展開などの事例紹介を通して活動の成功例や問題点を提示し、情報発信や教育・アウトリーチ活動の効果的な方法について議論すると共に、今後の展開についても紹介したい。