[G-02] 地球惑星科学のアウトリーチ・実践と理論

[G02-P05] 学生向けの宇宙天気インタプリタ育成のための実践的教育プログラム

*高城 有生¹、斉田 季実治^2,3、小原 隆博⁴、柴田 一成⁵、玉置 晋^1,2,4、野澤 恵¹ (1.茨城大学、2.ABlab宇宙天気プロジェクト、3.気象キャスターネットワーク、4.放送大学、5.花山宇宙文化財団)

キーワード：宇宙天気、宇宙天気教育、宇宙天気インタプリタ

1．はじめに
宇宙天気とは太陽活動による宇宙環境の乱れにより社会インフラや人間活動に様々なダメージを与えるものである。地球上にいてもその影響は受け、人間が宇宙に進出するためには考えざるを得ない大きな課題でもある。宇宙天気の教育・研究を行う茨城大学理学部野澤研究室は、柴田一成氏（花山宇宙文化財団）、小原隆博氏（放送大学）、斉田季実治氏（気象キャスターネットワーク）を講師とし、宇宙天気インタプリタ育成のための実践的教育プログラムを検討している。宇宙天気リスクに対応する難しさとして認知度の低さ、社会的影響範囲の広さがある。そもそも宇宙天気という言葉すらあまり知られておらず、宇宙天気自体の普及活動が必要である。また、社会的影響範囲の広さから宇宙天気の専門家では社会システム全てに対応することができず、研究が進んでも実践的な社会とは遠ざかるばかりである。宇宙天気に対応するためにはそれぞれの業界の専門家がリスク対応を正しく行う必要がある。そこで、今後様々な業界に就職し社会の中心となっていく学生に焦点を向け宇宙天気の教育を行う。参加費無料、オンラインということで学生側のコスト・場所の負担を軽減している。また、前線で研究を行っている講師陣と議論をすることができるため学生の学習意欲を高める。このような教育プログラムが広まり学生のうちから宇宙天気に触れることで宇宙天気リスクを評価・対応する宇宙天気インタプリタの育成を促すことができると考える。

２．宇宙天気講座
2023年度に学生を対象とした宇宙天気講座「宇宙天気について知ろう！」（前期）、「宇宙天気講義」（後期）を開講した。講義に際して、受講者同士で講義に向け知識を深めあい、互いの認識をすり合わせて講義で聞きたいことや疑問点を出し合う場として事前勉強会を行った。前期の講座は、事前勉強会で話し合ったことを元に受講者側から発表し、講師が訂正や補足を行う双方的に議論するゼミ型の講義とし、学生、一般を含む約80名が受講登録した。前期の講義では受講者が多岐に渡り講義の難易度設定が難しかった。そこで後期の講座は、宇宙天気予報士の制度に伴い、気象キャスター対象の「宇宙天気予報の作り方for気象キャスターネットワーク」と、学生をメインとした研究に直結するような専門的な講座を開講した。ここでは学生メインの講座について述べる。講座のカリキュラムは以下のとおりである。
第１回　宇宙天気とは?
第２回　太陽活動が地球に及ぼす影響
第３回　宇宙天気の職業・それぞれに必要な知識・今後
第４回　1-3回の講義のまとめ・座談会形式
第５回　宇宙天気予報士について
第６回　宇宙天気講義（宇宙天気監視）
第７回　宇宙天気講義（太陽）
第８回　宇宙天気講義（磁気圏）
第９回　宇宙天気講義（電離圏・熱圏）
第１０回　宇宙天気講義（宇宙天気情報発信）
第１１回　宇宙天気講義（宇宙天気予報の将来）

３．おわりに
学生を対象とした宇宙天気講義は次世代宇宙天気インタプリタ育成のためより広い範囲の学生に向けて行われる必要がある。