日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG19] 風景評価とレクリエーション研究の国際比較

2024年5月29日(水) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:松島 肇(北海道大学大学院農学研究院)、高山 範理(国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所)、水内 佑輔(東京大学農学生命科学研究科)、青木 陽二(国立環境研究所)

17:15 〜 18:45

[HCG19-P04] 小学生を対象とした景観体験による生物多様性保全

*松島 肇1、鈴木 玲2、木村 浩二3、大越 陽4、植野 晴子4、平吹 喜彦5 (1.北海道大学大学院農学研究院、2.北の里浜 花のかけはしネットワーク、3.雪印種苗株式会社、4.北海道大学大学院農学院、5.東北学院大学)

キーワード:NbS、グリーンインフラ、環境教育、市民協働

人類史上、これまでにない速度で低下している生物多様性に対して、2022年12月に採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組では、「自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め、 反転させるための緊急の行動をとること」が求められ、社会変革の重要性が強調されている。我が国の生物多様性の状況に関しても未だ回復傾向にはなく、生態系サービスも劣化傾向にある。そのため、2023年3月に閣議決定された生物多様性国家戦略 2023-2030 では、「ネイチャーポジティブの実現」を目標に、保護区の拡充に加え、社会の根本的変革、自然資本を守り活かす社会経済活動の推進が掲げられた。しかし、実際に人々の行動を変容させることは容易ではなく、その具体的方法は今なお模索が続いている。また、こうした活動は継続的に取組むことが重要とされるが、継続的参加が期待される地域主体のボランティア活動では、参加者の高齢化や余力の低下、人材不足が問題とされている。そのため、継続的な学びの場としての学校教育に対する期待は大きく、2007年の学校教育法改正では新たな義務教育の目標として「学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと」が明記され、身近な自然の重要性が指摘されている。
本研究では、東日本大震災後の東北地方沿岸を対象地として、小学生による海浜景観の復元活動を通した景観体験による生態系保全への取り組み行い、結果として海浜生態系の保全とともに行動変容による社会変革を目指した。具体的には、海浜環境の体験を通して、海浜植物の育苗や生態系の復元を目指した環境教育プログラムを実施した。6年間の活動により、自治体に加え市民団体やPTA、町内会、民間企業のCSR活動としての参画が次第に増加し、理解・関心が年々高まると共に活動が広がりを見せた。