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[HCG20-P09] 幌延URLにおける泥岩とセメントの原位置での相互作用と変質挙動:普通ポルトランドセメントと低アルカリセメントの比較
キーワード:地層処分、幌延URL、セメント-岩石相互作用、二次鉱物、核種移行
の岩石中の鉱物溶解や二次鉱物の沈殿等が生じ,岩石中の間隙構造が変化することで,岩盤中の核種移行挙動へ影響が生じる可能性がある。本研究では,北海道の幌延深地層研究センター地下施設(幌延URL)に坑道支保工として施工され10年以上経過したセメント支保工と岩盤(泥岩)の接触面周辺の変質状況を明らかにするとともに,核種移行挙動への影響を考察した。
具体的には,幌延URLの140 m調査坑道から採取した泥岩(声問層)と普通ポルトランドセメント(OPC)および低アルカリ性セメント(HFSC)支保工の接触面の試料を採取し,EPMA,SEM/EDS,μ-XRD,レーザーアブレーション(LA)ICPMSによって,その変質状態や主要・微量元素分布を分析するとともに,接触面近傍の交換性陽イオンや間隙特性の変化を分析した。EPMAやSEM/EDS等の分析から,セメントの種類によらず,セメントと岩石の接触面近傍のセメント支保工側ではCaの溶脱が進み,岩石側では接触面から1~2 mm程度の範囲でCaが拡がりカルサイトやC-A-S-H鉱物が二次鉱物として生成していることが確認された。また,LA-ICPMS分析からは,これらの二次鉱物中にSrやBa等が取り込まれていることが確認された。さらに,接触面近傍の岩石の陽イオン交換容量は未変質の泥岩の値と大きな違いはないものの,間隙率がわずかに低下していることを確認した。また,OPCとHFSCでの変質状況の差異として,セメント支保工側のCa溶脱範囲はHFSCの方が広いこと,岩石側のCaの拡がりや二次鉱物の生成はOPCの方がより顕著であること,岩石側の交換性陽イオンのCaへの変化はHFSCの方が顕著であることなどが挙げられ、これらは,OPCとHFSCの間隙水のpHや鉱物組成の差異によって生じたものと考えられる。一連の分析結果からOPCとHFSCのいずれの場合も,岩盤側の変質領域は狭く,核種移行挙動への影響も限定的であると推定されるが,試料採取地点の水理特性や反応期間の違いによる変質挙動への影響を評価するために,今後複数試料の分析や継時変化等を把握していく必要がある。
*本報告は経済産業省委託事業「令和2~4年度 高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(ニアフィールドシステム評価確証技術開発)」 の成果の一部である。
具体的には,幌延URLの140 m調査坑道から採取した泥岩(声問層)と普通ポルトランドセメント(OPC)および低アルカリ性セメント(HFSC)支保工の接触面の試料を採取し,EPMA,SEM/EDS,μ-XRD,レーザーアブレーション(LA)ICPMSによって,その変質状態や主要・微量元素分布を分析するとともに,接触面近傍の交換性陽イオンや間隙特性の変化を分析した。EPMAやSEM/EDS等の分析から,セメントの種類によらず,セメントと岩石の接触面近傍のセメント支保工側ではCaの溶脱が進み,岩石側では接触面から1~2 mm程度の範囲でCaが拡がりカルサイトやC-A-S-H鉱物が二次鉱物として生成していることが確認された。また,LA-ICPMS分析からは,これらの二次鉱物中にSrやBa等が取り込まれていることが確認された。さらに,接触面近傍の岩石の陽イオン交換容量は未変質の泥岩の値と大きな違いはないものの,間隙率がわずかに低下していることを確認した。また,OPCとHFSCでの変質状況の差異として,セメント支保工側のCa溶脱範囲はHFSCの方が広いこと,岩石側のCaの拡がりや二次鉱物の生成はOPCの方がより顕著であること,岩石側の交換性陽イオンのCaへの変化はHFSCの方が顕著であることなどが挙げられ、これらは,OPCとHFSCの間隙水のpHや鉱物組成の差異によって生じたものと考えられる。一連の分析結果からOPCとHFSCのいずれの場合も,岩盤側の変質領域は狭く,核種移行挙動への影響も限定的であると推定されるが,試料採取地点の水理特性や反応期間の違いによる変質挙動への影響を評価するために,今後複数試料の分析や継時変化等を把握していく必要がある。
*本報告は経済産業省委託事業「令和2~4年度 高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(ニアフィールドシステム評価確証技術開発)」 の成果の一部である。