14:45 〜 15:00
[HCG24-05] 物質循環型食料生産システム「アクアポニックス」の現状と圏外環境における利用の可能性
キーワード:アクアポニックス、食料生産、閉鎖循環式養殖システム、水耕栽培システム、地球圏外での活動
アクアポニックスは閉鎖循環式養殖システムから排出される水質汚濁物質を、水耕栽培を行うことで肥料として植物に与えることで吸収させ、飼育水の清浄性を維持しながら育成を行う物質循環型の食料生産システムである。本システムの歴史は古く、1980年代から試験研究が行われ、2000年代にはアメリカやオーストラリアで先駆的に産業的な生産が行われてきた。近年、日本においてもティラピアやチョザメを飼育し、葉物野菜を栽培する大型の商用施設が稼働し始めている。
これらのシステムは主に淡水を用いたシステムであるが、近年、海産魚介類と塩生植物を組み合わせた塩水を用いたアクアポニックスの研究も進められている。塩生植物には有用なものが選定されているが、食用、有用成分の生産や燃料の原料など生産後の用途が多岐にわたり、淡水のアクアポニックスの生産条件や手法に付け加えて独自の生産方式や運用形態が確立されつつある。
アクアポニックスは魚介類を養殖する飼育水と野菜を栽培する養液を共有し、水を介した物質の移動を人為的に行いながら生産を進める方式で物質供給・消費のバランスや過不足の調整が魚介類と野菜の生産を同時に行う際の重要な鍵となる。これらの物質フローを円滑に行うことができれば、魚介類と野菜、両者の成育は安定し、円滑な食料生産を実現できる。一方、この連結を解消し、閉鎖循環式養殖システムと水耕栽培システムを独立させることで飼育水を加工して水耕栽培に最適な養液調整を行う方式も考案され、これより幅の広い魚介類と植物の組み合わせが可能となった。
アクアポニックスを地球圏外の食料生産に利用しようというアイデアは、淡水のアクアポニックスが開発されたころから検討がなされていた。これは先行する圏外での植物栽培構想へ、動物性タンパク質の生産、特に宇宙開発黎明期から地球の軌道上で行われていた魚類や水棲生物の飼育実験での成果が反映され、魚類の養殖を行おうというアイデアにたどり着いた結果である。
しかしながら、衛星や惑星で食料生産を円滑に行うためには、重力や気圧といった現地環境への生物の適応性の把握が重要となる。特に成長や繁殖に至っては長期的な実験が必要となり、未知の部分が多い。飼育・栽培におけるエネルギー供給や物質のフロー制御についても最適化を行うことで省エネやガス交換も含めた物質循環効率の最適化を図る必要がある。また、複合的な飼育・栽培には一定のノウハウが必要となるため、それらを実現する様々な生産に関するデバイス、すなわち、生産環境や生産性を把握するセンサー類、そのデータを基に飼育・栽培を行う遠隔操作やAIなど客観的なデータから飼育・栽培の判断を行う自動生産システムの開発も必要となる。さらに食料としての安全性に関しても配慮が必須となる。これらの一部は現在地上でも技術開発が試みられており、将来的には開発中の新技術を圏外の食料生産に応用することも可能になると考えられる。
このようにアクアポニックスをはじめとする食料生産を圏外で行うためには様々な課題があり、それぞれの構想に合致した検討を進め、解像度を上げることで実現性を見極め、できることから検証を進めていくことが重要であると考えられる。
これらのシステムは主に淡水を用いたシステムであるが、近年、海産魚介類と塩生植物を組み合わせた塩水を用いたアクアポニックスの研究も進められている。塩生植物には有用なものが選定されているが、食用、有用成分の生産や燃料の原料など生産後の用途が多岐にわたり、淡水のアクアポニックスの生産条件や手法に付け加えて独自の生産方式や運用形態が確立されつつある。
アクアポニックスは魚介類を養殖する飼育水と野菜を栽培する養液を共有し、水を介した物質の移動を人為的に行いながら生産を進める方式で物質供給・消費のバランスや過不足の調整が魚介類と野菜の生産を同時に行う際の重要な鍵となる。これらの物質フローを円滑に行うことができれば、魚介類と野菜、両者の成育は安定し、円滑な食料生産を実現できる。一方、この連結を解消し、閉鎖循環式養殖システムと水耕栽培システムを独立させることで飼育水を加工して水耕栽培に最適な養液調整を行う方式も考案され、これより幅の広い魚介類と植物の組み合わせが可能となった。
アクアポニックスを地球圏外の食料生産に利用しようというアイデアは、淡水のアクアポニックスが開発されたころから検討がなされていた。これは先行する圏外での植物栽培構想へ、動物性タンパク質の生産、特に宇宙開発黎明期から地球の軌道上で行われていた魚類や水棲生物の飼育実験での成果が反映され、魚類の養殖を行おうというアイデアにたどり着いた結果である。
しかしながら、衛星や惑星で食料生産を円滑に行うためには、重力や気圧といった現地環境への生物の適応性の把握が重要となる。特に成長や繁殖に至っては長期的な実験が必要となり、未知の部分が多い。飼育・栽培におけるエネルギー供給や物質のフロー制御についても最適化を行うことで省エネやガス交換も含めた物質循環効率の最適化を図る必要がある。また、複合的な飼育・栽培には一定のノウハウが必要となるため、それらを実現する様々な生産に関するデバイス、すなわち、生産環境や生産性を把握するセンサー類、そのデータを基に飼育・栽培を行う遠隔操作やAIなど客観的なデータから飼育・栽培の判断を行う自動生産システムの開発も必要となる。さらに食料としての安全性に関しても配慮が必須となる。これらの一部は現在地上でも技術開発が試みられており、将来的には開発中の新技術を圏外の食料生産に応用することも可能になると考えられる。
このようにアクアポニックスをはじめとする食料生産を圏外で行うためには様々な課題があり、それぞれの構想に合致した検討を進め、解像度を上げることで実現性を見極め、できることから検証を進めていくことが重要であると考えられる。