17:15 〜 18:45
[HDS08-P20] 越美山地・魚金山における重力性凹地の年代:湿潤変動帯における山体重力変形の分布と発達過程への示唆
キーワード:山体重力変形、深層崩壊、越美山地、魚金山、湿潤変動帯、遷急点の後退
山体の頂部やその周辺にはしばしば二重山稜や山向き小崖,線状凹地と呼ばれる山体重力変形(DGSD)地形が発達し,その一部は大規模な深層崩壊の前兆的地形と考えられている。日本を含む湿潤変動帯では、数万年規模の広域隆起や気候変動に伴う遷急点の後退が、山体重力変形地形の分布や発達過程に影響を与えていると考えられてきた。しかし、特定の地域に分布する複数の山体重力変形地形の形成年代を比較・検討し、その分布と発達過程を検討した事例は少ない。
筆者らはこれまでに、岐阜県と福井県にまたがる越美山地の複数の重力性凹地でコア掘削調査を行ってきた。越美山地におけるこのような試みの一環として、越美山地南部に位置する魚金山(ようきんざん)の重力性凹地において、ポータブルパーカッションコアリングシステムを用いたコア掘削を行った。その結果、この凹地の形成年代は77~60 kaと、これまで越美山地で見つかっていた後氷期以降の山体重力変形地形よりもかなり古いことが明らかとなった。同一山地における山体重力変形地形の形成年代の違いは、海洋酸素同位体ステージ(MIS)に対応する河川の下刻期、越美山地においては特にMIS4とMIS2の下刻期が山体重力変形地形の分布と形成年代に関与している可能性を示唆する。
筆者らはこれまでに、岐阜県と福井県にまたがる越美山地の複数の重力性凹地でコア掘削調査を行ってきた。越美山地におけるこのような試みの一環として、越美山地南部に位置する魚金山(ようきんざん)の重力性凹地において、ポータブルパーカッションコアリングシステムを用いたコア掘削を行った。その結果、この凹地の形成年代は77~60 kaと、これまで越美山地で見つかっていた後氷期以降の山体重力変形地形よりもかなり古いことが明らかとなった。同一山地における山体重力変形地形の形成年代の違いは、海洋酸素同位体ステージ(MIS)に対応する河川の下刻期、越美山地においては特にMIS4とMIS2の下刻期が山体重力変形地形の分布と形成年代に関与している可能性を示唆する。