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[HDS10-05] 2021年噴火から見えてきた阿蘇火山における登山者の火山防災リテラシー向上への課題
キーワード:阿蘇火山、水蒸気噴火、火山防災、登山者
阿蘇山は水蒸気噴火が頻発する火山であり、過去には水蒸気噴火による犠牲者も発生していた。最近では2021年10月20日に水蒸気噴火が発生した。この噴火では,多数の噴石が放出され,噴煙は火口縁上3500mの高度に達し,火砕流は最大で火口の北側1.6kmまで流下した。そして、火口周辺の防護柵や火山ガス検知装置などが破壊されるなどの被害が生じたが、噴火警戒レベルが2の状態で噴火が発生したこともあり、人的被害は発生していない。しかし、噴火発生時に火口から1km~2kmの登山道に10名を超える登山者がいたことなど、防災上の問題点が明らかになった。
火山噴火に対する防災リテラシー向上のためには、噴火による災害事例に基づく災害発生機構の解明が重要である。2021年の阿蘇山噴火は災害にまではいたらなかったが、一歩間違えば人的被害に繋がっていた可能性のあるインシデントである。そこで、これまでの阿蘇山での火山活動とそれによる災害、防災対策、火口周辺の利活用のなどの経緯を文献調査などによって整理し、このインシデント事例の発生過程を、関係者への聞き取り調査と研究代表者の現地での体験にもとづいて整理した。
その結果、火山活動の活発化にともない、気象庁からの情報は段階的に発令されていたが、それが速やかなで効果的な登山道閉鎖には繋がらなかった。また、登山者の火山情報収集にも課題があった。すなわち、登山道を規制する側、利用する側いずれにも火山活動の情報は有効活用されていなかったことが明らかになった。今後これらの問題を解決する努力が必要である。
【謝辞】本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の支援を受けています。
火山噴火に対する防災リテラシー向上のためには、噴火による災害事例に基づく災害発生機構の解明が重要である。2021年の阿蘇山噴火は災害にまではいたらなかったが、一歩間違えば人的被害に繋がっていた可能性のあるインシデントである。そこで、これまでの阿蘇山での火山活動とそれによる災害、防災対策、火口周辺の利活用のなどの経緯を文献調査などによって整理し、このインシデント事例の発生過程を、関係者への聞き取り調査と研究代表者の現地での体験にもとづいて整理した。
その結果、火山活動の活発化にともない、気象庁からの情報は段階的に発令されていたが、それが速やかなで効果的な登山道閉鎖には繋がらなかった。また、登山者の火山情報収集にも課題があった。すなわち、登山道を規制する側、利用する側いずれにも火山活動の情報は有効活用されていなかったことが明らかになった。今後これらの問題を解決する努力が必要である。
【謝辞】本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の支援を受けています。
