11:15 〜 11:30
[HDS10-08] 東日本大震災後に防災は強化されたのか─宮城県女川町の事例─
キーワード:コミュニティ防災、復興格差、東日本大震災
東日本大震災後の復興政策では津波防災を大義として大規模な高台移転が推進された。復興事業が完了した現在、被災地の防災は強化されたのか。本報告では宮城県女川町を事例に、この点の検証を試みる。問題としたい論点は以下の3点である。
第1に、高台での住宅再建過程で世帯の分解が進み、震災前と比較して高齢小規模世帯の比率が上昇した。特に女川では災害公営住宅への入居者比率が高かったため、この傾向が顕著である。その結果、高齢層の社会的孤立が問題化している。
第2に、原子力発電所が立地する女川では原発事故に対する危機意識が際立って高い一方で、地域の防災活動は著しく停滞している。地域防災と原発防災の乖離が看取できる。
第3に、居住地の高台移転は移転元地の開発とセットで計画された(「創造的復興」)。その結果、中心地区への商業施設の集約と観光化が実現したが、離半島部は開発の埒外に置かれ、町内の生活条件格差が拡大した。
以上のように、高台への居住地移転は津波災害からの安全性を向上させた一方で、コミュニティの防災力や地域の持続可能性にネガティブな影響をもたらした。防災の効果はこれら正負の影響の差引勘定として捉えられるべきであり、そのためには文理融合に依拠した学際的研究が不可欠である。
第1に、高台での住宅再建過程で世帯の分解が進み、震災前と比較して高齢小規模世帯の比率が上昇した。特に女川では災害公営住宅への入居者比率が高かったため、この傾向が顕著である。その結果、高齢層の社会的孤立が問題化している。
第2に、原子力発電所が立地する女川では原発事故に対する危機意識が際立って高い一方で、地域の防災活動は著しく停滞している。地域防災と原発防災の乖離が看取できる。
第3に、居住地の高台移転は移転元地の開発とセットで計画された(「創造的復興」)。その結果、中心地区への商業施設の集約と観光化が実現したが、離半島部は開発の埒外に置かれ、町内の生活条件格差が拡大した。
以上のように、高台への居住地移転は津波災害からの安全性を向上させた一方で、コミュニティの防災力や地域の持続可能性にネガティブな影響をもたらした。防災の効果はこれら正負の影響の差引勘定として捉えられるべきであり、そのためには文理融合に依拠した学際的研究が不可欠である。
