17:15 〜 18:45
[HGG02-P05] 中央ケニア半乾燥地域における土壌浸食の評価-衛星リモートセンシングによる検討-
キーワード:リモートセンシング、ケニア、土壌侵食(土壌浸食)、NDVI、ランドサット、混合スペクトル解析
ケニア中央部, Laikipia countyに属するIl Polei sub-locationは, 標高 1,750~1,850m の半乾燥放牧地帯に位置し, 雨季の集中的な降水がガリー浸食をはじめとする土壌浸食を引き起こしている. 本研究では, Landsat7, 8, 9画像に, 正規化指標(NDVI / SAVI / EVI / NDSI)と混合スペクトル解析の2種類の手法を適用し, 過去数十年(2000~2023年)における土壌浸食の拡大についての評価を行った. 本研究の目的は, 1) 各正規化指標の性質の違いについて, 2) 土壌浸食を精度よく検出できる指標について, 3) 浸食地と地形の関連性について議論することである.
NDVI / SAVI / EVI / NDSIの長期トレンドによると, 過去24年で植被が増加したピクセルが支配的であったが, これは侵略的外来植物種であるOpuntia Strictaに関連する. 一方で, 継続的に土壌浸食が進行した地域はガリーや河道に分布していた. NDVI / SAVI / EVIの浸食トレンドの強さ(Sen’s Slope)の分布は非常に類似しており, 同様の地表変化を反映していたが, これはピクセル内に占める植被の割合が平均的に少ないため, SAVIやEVIに含まれる土壌の影響を緩和するための項が有効に機能していないことが一因であると思われる. 一方で, 低灌木と裸地のスペクトルが類似していたため, NDSIは浸食の拡大を正確に評価できなかった. 浸食トレンドの強さは河道で顕著に大きく, 側方浸食の進行や, 採砂による近年の人為的な影響を示していると考えられる.
混合スペクトル分析によるトレンドは, 河床面積と裸地面積の拡大をNDVIよりも精度よく検出できた. 側方浸食が弱い河道ではNDVIは浸食を評価できなかったのに対し, 河床堆積物に由来する混合スペクトル分析の指標は全ての河床の拡大を検出した. 裸地面積の拡大は, 低灌木に由来する混合スペクトル分析の指標が有効に機能した. 草本植生の多雨年における一時的な急成長の影響を緩和し, 低灌木の緩やかな後退を検出することで土壌浸食の拡大を評価できたと思われる. 特定の土地被覆の変化を検出する際は, 混合スペクトル分析は従来の正規化指標よりも適していると推測される.
ガリーの有無を目的変数としたロジスティック回帰分析の結果, 傾斜が大きいこと, 周囲と比較して凹地であることがガリーの発達に有利に働くことが示された. ガリーの浸食強度は流水の収束と流出量によって増加することから, ガリーの分布は凹状斜面に集中した. しかし, ガリーの面積規模はLandsatの解像度(30m)と比較して相当に小さいことが考えられるため, 上記のロジスティック回帰分析の結果はガリーを取り囲む裸地被覆で発生する浸食による影響を内包している可能性がある. また, 裸地の拡大を引き起こしたシートウォッシュ浸食, リル浸食が顕著な領域は, これらに連動したガリー浸食も活発であると推測される. 正規化指標や混合スペクトル解析による指標のSen’s Slopeと, DEMから作成した地形変数の相関は非常に弱かったが, この結果は, 本地域の浸食はシートウォッシュ浸食, リル浸食, ガリー浸食の複合的なものであり, 単純な地形変数のみでは説明が困難であることを定量的に示しているものと思われた.
NDVI / SAVI / EVI / NDSIの長期トレンドによると, 過去24年で植被が増加したピクセルが支配的であったが, これは侵略的外来植物種であるOpuntia Strictaに関連する. 一方で, 継続的に土壌浸食が進行した地域はガリーや河道に分布していた. NDVI / SAVI / EVIの浸食トレンドの強さ(Sen’s Slope)の分布は非常に類似しており, 同様の地表変化を反映していたが, これはピクセル内に占める植被の割合が平均的に少ないため, SAVIやEVIに含まれる土壌の影響を緩和するための項が有効に機能していないことが一因であると思われる. 一方で, 低灌木と裸地のスペクトルが類似していたため, NDSIは浸食の拡大を正確に評価できなかった. 浸食トレンドの強さは河道で顕著に大きく, 側方浸食の進行や, 採砂による近年の人為的な影響を示していると考えられる.
混合スペクトル分析によるトレンドは, 河床面積と裸地面積の拡大をNDVIよりも精度よく検出できた. 側方浸食が弱い河道ではNDVIは浸食を評価できなかったのに対し, 河床堆積物に由来する混合スペクトル分析の指標は全ての河床の拡大を検出した. 裸地面積の拡大は, 低灌木に由来する混合スペクトル分析の指標が有効に機能した. 草本植生の多雨年における一時的な急成長の影響を緩和し, 低灌木の緩やかな後退を検出することで土壌浸食の拡大を評価できたと思われる. 特定の土地被覆の変化を検出する際は, 混合スペクトル分析は従来の正規化指標よりも適していると推測される.
ガリーの有無を目的変数としたロジスティック回帰分析の結果, 傾斜が大きいこと, 周囲と比較して凹地であることがガリーの発達に有利に働くことが示された. ガリーの浸食強度は流水の収束と流出量によって増加することから, ガリーの分布は凹状斜面に集中した. しかし, ガリーの面積規模はLandsatの解像度(30m)と比較して相当に小さいことが考えられるため, 上記のロジスティック回帰分析の結果はガリーを取り囲む裸地被覆で発生する浸食による影響を内包している可能性がある. また, 裸地の拡大を引き起こしたシートウォッシュ浸食, リル浸食が顕著な領域は, これらに連動したガリー浸食も活発であると推測される. 正規化指標や混合スペクトル解析による指標のSen’s Slopeと, DEMから作成した地形変数の相関は非常に弱かったが, この結果は, 本地域の浸食はシートウォッシュ浸食, リル浸食, ガリー浸食の複合的なものであり, 単純な地形変数のみでは説明が困難であることを定量的に示しているものと思われた.
