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[HGM03-P05] 画像解析を用いた礫質砕屑物の円磨度に基づく河成段丘礫層の本流性-支流性の識別手法の検討:道志川とその支流域を例に

キーワード:道志川、段丘礫、円磨度、河成段丘、画像解析
河川上流域では,河川本流に対する支流の合流が多く,最終氷期の河谷埋積期には,本流性堆積物と支流堆積物が指交しながら埋積が進み,その結果として,上流河谷内には本流性と支流性の段丘がしばしば共存している(平川・小野,1974;小岩,2005;Takahashi and Sugai, 2018など).段丘構成層の本流性-支流性を堆積学的特徴から識別することは,流域の長期的土砂収支や河川の埋積・侵食,堆積段丘の発達過程を復元するうえで重要である.段丘堆積物などの砕屑物の供給源を推定し本流性-支流性を識別する上では,砕屑物粒子の形状,特に円磨度は重要な指標の1つである.既往研究では,本流性と支流・斜面性の段丘礫の識別のために円磨度が用いられた事例も多いが,目視での判定に基づく定性的・半定量的なものが多く,また計測粒径や個数も限られている.加えて,破砕作用によって本流の網状河川であっても細粒な礫ほど円磨度が低くなる傾向(宇津川・白井,2019など)も指摘されていることから,本流性-支流性が識別可能かつ採取・分析が容易・効率的な粒径の把握が求められる.近年は画像解析による粒子形状解析手法が確立されつつあり(Zheng and Hryciw, 2015),高精度かつ効率的に定量的な粒子形状を測定可能となった.段丘礫についても,画像解析を用いた円磨度の測定手法を適用することで,より客観的かつ効率的な礫質堆積物の供給源推定や本流性-支流性の識別が可能となると期待される.本研究では,関東地方,相模川流域の道志川とその支流の梶野沢流域を対象として,現河床礫,および段丘礫に対して円磨度の画像解析を実施して,本流と支流それぞれの現河床礫と段丘礫の円磨度分布を比較し,段丘礫の供給源の推定や,本流性-支流性の識別に有用な粒径の検討を行う.
現世の道志川本流と,支流である梶野沢,ならびに梶野沢流域内の小支流(又支流)の河床堆積物,および,本流性・支流性と考えられる段丘堆積物を対象として,2 mm~32 mmの段丘礫を1φごとにふるい分けて採取した.粒径ごとにそれらの最大投影面の輪郭画像を撮影し,Rgrainsを用いた画像解析(Ishimura and Yamada, 2019; Yamada, 2023)によって粒子ごとの円磨度を測定し,ヒストグラムを作成した.
その結果,本流の現河床礫と本流性の段丘礫では,すべての粒径で円磨度のヒストグラムに大きな差がみられなかった.一方,支流と又支流の現河床礫を比較すると,又支流の礫方が支流のそれよりも円磨度が低い傾向がみられた.また,いずれの層準で採取した支流性の段丘礫も,又支流の円磨度分布と近似していた.これは支流と又支流における河川勾配の違いによると考えられ,平均勾配が土石流停止勾配(島津,1991)である8%を境に,緩やかな支流では掃流河川,急な又支流では土石流河川と堆積様式が異なっていることにより生じていると考えられる.これらのことは,採取された支流性段丘礫が,又支流のような土石流河川から供給されたことを示唆している.
本流と支流の現河床堆積物を比較した場合,平均円磨度に明瞭な違いが生じていたのは16~32 mmの粒径のみであった.一方,本流と又支流の堆積物では,4~8 mm以上の粒径で平均円磨度による識別が可能であった.これらの違いは,支流と又支流の堆積様式の違いによりもたらされていると考えられる.運搬様式(土石流か掃流か)と礫種が共に異なる試料同士では細かい粒径においても顕著な違いが生じ,礫種のみが異なり運搬様式が同じ試料同士では粒径の粗いものでのみ顕著な違いが生じていた.このことから,礫質砕屑物の円磨度は,その場の運搬様式の違いにより大きな差が生じ,礫種や後背地の大きさの差異によりもたらされる円磨度分布の違いは限定的であることが明らかとなった.
現世の道志川本流と,支流である梶野沢,ならびに梶野沢流域内の小支流(又支流)の河床堆積物,および,本流性・支流性と考えられる段丘堆積物を対象として,2 mm~32 mmの段丘礫を1φごとにふるい分けて採取した.粒径ごとにそれらの最大投影面の輪郭画像を撮影し,Rgrainsを用いた画像解析(Ishimura and Yamada, 2019; Yamada, 2023)によって粒子ごとの円磨度を測定し,ヒストグラムを作成した.
その結果,本流の現河床礫と本流性の段丘礫では,すべての粒径で円磨度のヒストグラムに大きな差がみられなかった.一方,支流と又支流の現河床礫を比較すると,又支流の礫方が支流のそれよりも円磨度が低い傾向がみられた.また,いずれの層準で採取した支流性の段丘礫も,又支流の円磨度分布と近似していた.これは支流と又支流における河川勾配の違いによると考えられ,平均勾配が土石流停止勾配(島津,1991)である8%を境に,緩やかな支流では掃流河川,急な又支流では土石流河川と堆積様式が異なっていることにより生じていると考えられる.これらのことは,採取された支流性段丘礫が,又支流のような土石流河川から供給されたことを示唆している.
本流と支流の現河床堆積物を比較した場合,平均円磨度に明瞭な違いが生じていたのは16~32 mmの粒径のみであった.一方,本流と又支流の堆積物では,4~8 mm以上の粒径で平均円磨度による識別が可能であった.これらの違いは,支流と又支流の堆積様式の違いによりもたらされていると考えられる.運搬様式(土石流か掃流か)と礫種が共に異なる試料同士では細かい粒径においても顕著な違いが生じ,礫種のみが異なり運搬様式が同じ試料同士では粒径の粗いものでのみ顕著な違いが生じていた.このことから,礫質砕屑物の円磨度は,その場の運搬様式の違いにより大きな差が生じ,礫種や後背地の大きさの差異によりもたらされる円磨度分布の違いは限定的であることが明らかとなった.
