日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM03] 地形

2024年5月28日(火) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:岩橋 純子(国土地理院)、齋藤 仁(名古屋大学 大学院環境学研究科)、高波 紳太郎(明治大学)、Newman R Newman(Hokkaido University)


17:15 〜 18:45

[HGM03-P09] 出水イベント時に浸水した砂礫洲表面の侵食・堆積

*谷口 圭輔1、津田 淳史1、林 隼大1遠藤 徳孝2 (1.津山工業高等専門学校、2.金沢大学)

キーワード:河川、砂礫洲、放射性セシウム、ベッドフォーム

地形が急峻な日本の河川では、河道に砂礫洲が発達している事例が多く存在する。砂礫洲には、巨礫からシルト・クレイサイズの粒子まで、幅広い粒径の粒子が堆積するが、こうした堆積物の中には、単一粒径ではその場に堆積しないような細粒の成分が含まれることがある。しかし、どの程度の細粒成分が取り込まれうるのかについては、十分なデータが取得されていない。本研究では、東日本台風による豪雨で被害を受け、復旧工事により人為的に平滑化された砂礫洲を対象に継続的な観測を行うことで、出水により生じた新たな堆積物の分布と堆積構造の観察、および試料採取を行い、砂礫洲上での堆積現象の特徴の理解に資する知見を得ることを目的とした。
 本研究の対象地点は、福島県を流れる新田川の下流に位置する河川公園である。この公園は、2019年10月の東日本台風による豪雨で浸水被害を受けたため、2020~2021年にかけて復旧工事が行われた。その過程で、公園の対岸に位置する砂礫洲には重機が入り、平滑化された表面を持つ状態となった。この河川公園を対象に、2022年9月9日、2023年の8月22日、同年11月22日の3度にわたり無人航空機(DJI社製Phantom4 RTK)を用いて写真測量を実施した。また、実際の浸水範囲を確認するため、砂礫洲の対岸にインターバルカメラを設置し、10分ごとに砂礫洲周辺の写真を撮影した。写真測量業務の実施日前後には、土壌試料の採取を実施した。採取した土砂は、目開き2mmのふるいで篩分し、2mm以下の画分について粒径分布とCs-137の放射能濃度の測定を行った。
 写真測量で得られたオルソ画像を比較すると、2022年8月と2023年8月の間では、砂礫洲を分断していた分岐流路が閉塞されていることが確認された。さらに、2023年11月には、砂礫洲表面の広範囲にわたり地表面の変化が観測された。等間隔に流下方向に伸びるサンドリボン様地形、前年度に閉塞した分岐流路側から本川方向への土砂の移動を示すマイクロデルタ様地形などがそれにあたる。インターバルカメラの映像と、河川公園から数km下流に位置する原町水位観測所の水位データから、この堆積物は2023年9月8日~9日にかけての出水イベントによるものであると考えられた。ポスターでは、現在測定中の2023年11月採取試料の測定結果を合わせて報告し、細粒粒子が新規堆積物にどの程度含まれるかを議論する。