17:15 〜 18:45
[HGM03-P12] 宮城県丸森町の花崗閃緑岩山地における谷頭部の埋積速度
キーワード:谷頭凹地、表層崩壊、放射性炭素年代測定
宮城県丸森町の花崗閃緑岩山地の斜面崩壊跡において谷頭部の過去の埋積速度を推定した.対象地域は2019年10月の令和元年東日本台風に伴う豪雨によって多数の崩壊が発生した宮城県丸森町の花崗閃緑岩山地である.表層崩壊が発生した谷頭部に残存する堆積物中に含まれる炭質物及び黒色土壌を採取し,それらの放射性炭素年代測定を実施した.また,斜面崩壊発生前後の1 m DEMの差分に基づき崩壊深を推定し,炭質物試料の崩壊前における地表からの深度を推定した.調査した谷頭部では,上位に黒色のマサ土層(以下黒色土層),下位に褐色のマサ土層が普遍的に存在していた.黒色土層の年代値は概ね600〜1200 cal yBPであった.以下の計算では,この年代以降途中で中断することなく連続的に埋積が継続していたと仮定する.その場合,上位の黒色土層から2019年までの埋積速度は,2.5±0.4~3.2±0.3 mm/yの範囲にあった.丸森町の埋積速度は,過去の人為的影響により広範囲が裸地化していた山口県防府市における埋積速度よりは小さく,人為的影響が比較的少ない広島県広島市における埋積速度よりは大きかった.
深度別に採取されたサンプルから過去(600〜1200 cal yBP)の黒色土層の埋積速度を推定した結果,その値は0.9±0.1~2.3±0.2 mm/yの範囲にあった.一方,黒色土層の下位にある褐色のマサ土層の埋積速度は0.3 mm/yであり,下位の褐色マサ土層に比べて黒色土層の埋積速度は大きく増加していた.これらの結果から,丸森町では1200 cal yBP以降,谷頭部周辺の斜面の環境変化により黒色土層が生成されるようになり,それに伴って谷頭部の埋積が急速に進んだことを推定した.
深度別に採取されたサンプルから過去(600〜1200 cal yBP)の黒色土層の埋積速度を推定した結果,その値は0.9±0.1~2.3±0.2 mm/yの範囲にあった.一方,黒色土層の下位にある褐色のマサ土層の埋積速度は0.3 mm/yであり,下位の褐色マサ土層に比べて黒色土層の埋積速度は大きく増加していた.これらの結果から,丸森町では1200 cal yBP以降,谷頭部周辺の斜面の環境変化により黒色土層が生成されるようになり,それに伴って谷頭部の埋積が急速に進んだことを推定した.
