17:15 〜 18:45
[HQR05-P13] アナトリア中部カマン・カレホユック遺跡における、前期青銅器時代から鉄器時代に渡るゴミ堆積物の層序復元
キーワード:アナトリア、ミドゥン堆積物
アナトリア中部(トルコ共和国)に位置する丘状遺跡であるカマン・カレホユック遺跡は、過去36年にわたって発掘が続けられ、少なくともおよそ5000年前の前期青銅器時代から近世オスマン帝国時代までの建築遺構(建築層)が成層して埋積していることが分かっている。特に遺跡北区では深さ10mを超えるトレンチが掘られ、遺跡内堆積物が広く露出している。
遺跡内で廃棄物が堆積して形成される堆積物(ミドゥン堆積物)は、日常的に排出される灰や炭、骨、糞、しっくいや日干しレンガの破片などが含まれており、当時の人々の食生活や技術に関する情報が含まれていると考えられる。ミドゥン堆積物の層序を復元・記載し、層序方向に連続的に試料を採取・分析することで、生活様式や技術の時代変化を連続的に復元できると期待される。
カマン・カレホユック遺跡では、各建築層にピットと呼ばれる直径数十cm~1m程度, 深さ数十cm程度の穴状の遺構が多数存在し、ミドゥン堆積物がピットを充填するように堆積している。ピットの多くは、後から掘られた別のピットによって切断されているため、ピット相互の切断関係から前後関係を推定することができる。
そこで本研究では、カマン・カレホユック遺跡北区のトレンチ壁面において、計35個のピットを観察・記載し、ピット相互の前後関係に沿って並べ替えることで、前期青銅器時代から鉄器時代に渡る延べ層厚~15mのミドゥン堆積物層序を復元した。ミドゥン堆積物は、褐色中粒~粗粒砂を主体とし、数mm~数cm大の土器片、骨片、日干しレンガ片、礫、木炭を多く含む。また、部分的に厚さ数mm~数cmの灰色~灰白色のシルト薄層が挟在する。
さらに、ミドゥン堆積物の構成粒子とその時代変化を明らかにするため、ミドゥン堆積物から採取した試料について、トルコ鉱物資源開発局(MTA)において蛍光X線分析(XRF)、 X線回折分析(XRD)およびXRFコアスキャナー(ITRAX)を用いた連続化学分析を行った。発表では、これらの分析結果についても報告する。特に、前期青銅器時代から鉄器時代に渡ってミドゥン堆積物中に銅の濃集がみられた一方で、中・後期青銅器時代以降はミドゥン堆積物中に鉄の濃集もみられた。ミドゥン堆積物中への金属元素の濃集が、遺跡内での金属利用技術の変化を反映している可能性が考えられる。
遺跡内で廃棄物が堆積して形成される堆積物(ミドゥン堆積物)は、日常的に排出される灰や炭、骨、糞、しっくいや日干しレンガの破片などが含まれており、当時の人々の食生活や技術に関する情報が含まれていると考えられる。ミドゥン堆積物の層序を復元・記載し、層序方向に連続的に試料を採取・分析することで、生活様式や技術の時代変化を連続的に復元できると期待される。
カマン・カレホユック遺跡では、各建築層にピットと呼ばれる直径数十cm~1m程度, 深さ数十cm程度の穴状の遺構が多数存在し、ミドゥン堆積物がピットを充填するように堆積している。ピットの多くは、後から掘られた別のピットによって切断されているため、ピット相互の切断関係から前後関係を推定することができる。
そこで本研究では、カマン・カレホユック遺跡北区のトレンチ壁面において、計35個のピットを観察・記載し、ピット相互の前後関係に沿って並べ替えることで、前期青銅器時代から鉄器時代に渡る延べ層厚~15mのミドゥン堆積物層序を復元した。ミドゥン堆積物は、褐色中粒~粗粒砂を主体とし、数mm~数cm大の土器片、骨片、日干しレンガ片、礫、木炭を多く含む。また、部分的に厚さ数mm~数cmの灰色~灰白色のシルト薄層が挟在する。
さらに、ミドゥン堆積物の構成粒子とその時代変化を明らかにするため、ミドゥン堆積物から採取した試料について、トルコ鉱物資源開発局(MTA)において蛍光X線分析(XRF)、 X線回折分析(XRD)およびXRFコアスキャナー(ITRAX)を用いた連続化学分析を行った。発表では、これらの分析結果についても報告する。特に、前期青銅器時代から鉄器時代に渡ってミドゥン堆積物中に銅の濃集がみられた一方で、中・後期青銅器時代以降はミドゥン堆積物中に鉄の濃集もみられた。ミドゥン堆積物中への金属元素の濃集が、遺跡内での金属利用技術の変化を反映している可能性が考えられる。