16:00 〜 16:15
[HQR06-03] 火山灰土に含まれる風送塵石英のESRによる分析
キーワード:石英、ダスト、気候変動、ESR
第四紀の氷期-間氷期サイクルにおいて気温の変動が詳細に調べられている一方で、モンスーンなどの風向や強度に対する情報を得るのは難しい。堆積物の粒径や起源を調べることで、この課題に取り組む研究が進められており、電子スピン共鳴(ESR)信号は起源を求めるのに有効な指標であることが示されている [1]。ここで、最近15万年間の連続的な変動について、海洋堆積物を用いてその起源を調べられた研究はあるが、短いタイムスケールの変動については、堆積速度の速い陸上の堆積物を用いる方が有利である可能性がある。そこで本研究では、陸域に分布する堆積速度の速い火山灰土に着目し、連続サンプリングされた火山灰土中の石英の酸素空孔量の時間変動を調べた。
今回、青森県六戸町上吉田露頭で、火山灰土の層序を、表層から110㎝から420㎝の範囲を5㎝ごとに連続的に合計61試料を採取して分析対象とした。ストークス法により2から20μm、及び20から50μmの粒径フラクションを抽出し、化学処理によって石英を抽出した。試料にシリコンを混ぜてXRD解析を行い、抽出した試料中の正確な石英含有量を求めた。電子スピン共鳴によって、E1'中心の信号強度から石英中の酸素空孔量の測定を行った。最上部の115cmから120cmの範囲で、高い酸素空孔量が観測された。この層序についてテフラ、また海岸段丘をもとに年代を推定すると、この時期が最終氷期の最寒期に対応している可能性が高いと考えられる。この結果から、火山灰土中の石英のESR測定による酸素空孔量を用いて気候の変動を議論できる可能性があると考えられる。
[1] Nagashima et al. (2007) Geochemistry, Geophysics, Geosystems., 8, Q02Q04
今回、青森県六戸町上吉田露頭で、火山灰土の層序を、表層から110㎝から420㎝の範囲を5㎝ごとに連続的に合計61試料を採取して分析対象とした。ストークス法により2から20μm、及び20から50μmの粒径フラクションを抽出し、化学処理によって石英を抽出した。試料にシリコンを混ぜてXRD解析を行い、抽出した試料中の正確な石英含有量を求めた。電子スピン共鳴によって、E1'中心の信号強度から石英中の酸素空孔量の測定を行った。最上部の115cmから120cmの範囲で、高い酸素空孔量が観測された。この層序についてテフラ、また海岸段丘をもとに年代を推定すると、この時期が最終氷期の最寒期に対応している可能性が高いと考えられる。この結果から、火山灰土中の石英のESR測定による酸素空孔量を用いて気候の変動を議論できる可能性があると考えられる。
[1] Nagashima et al. (2007) Geochemistry, Geophysics, Geosystems., 8, Q02Q04