日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC07] 地球温暖化防⽌と地学(CO2地中貯留・有効利⽤、地球⼯学)

2024年5月28日(火) 13:45 〜 15:00 105 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:徂徠 正夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)、薛 自求(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構)、愛知 正温(東京大学大学院新領域創成科学研究科)、今野 義浩(The University of Tokyo, Japan)、座長:徂徠 正夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)


13:45 〜 14:00

[HSC07-12] エネルギー安定供給とカーボンニュートラル推進の両立を目指す石油技術協会の取り組み

*小寺 保彦1 (1.石油技術協会)

キーワード:石油開発業界、石油技術協会、エネルギー安定供給、カーボンニュートラル、二酸化炭素地下貯留

最近の石油開発業界の事業環境変化としては、脱炭素・カーボンニュートラル社会への移行がある。2020年10月末に当時の菅総理が「2050年までにカーボンニュートラルを実現」という所信表明を行って以来、我が国の企業・大学は脱炭素・カーボンニュートラルへの取り組みを一気に加速した。
また、世界のエネルギー情勢に目を転じると、2022年春には、地政学リスクが大きく変化する事案が起こり、現在まで収まる気配がない。これはエネルギーの需要と供給の構造が大きく変え、今でも経済状況に甚大な影響を与えている。さらに、2023年には中東での新しい事案が加わり、エネルギーを取り巻く地政学リスクは、一層大きくなっている。これらの変化により、世界的なエネルギー安定供給と我が国のエネルギー安全保障の確保することが国民レベルで強く意識されるようになり、エネルギー安定供給とカーボンニュートラル社会の実現という二つの目標達成に向けた石油天然ガス開発業界の課題が浮き彫りとなった。
カーボンニュートラル社会への移行の面では、2023年6月、我が国でのCCS事業の開始時期を2030年と想定した「先進的CCS事業」が選定され、事業化への取り組みはさらに加速した。その中で、二酸化炭素の地下貯留の分野において、石油天然ガス開発事業で培った技術を有する石油天然ガス業界の技術者の社会的使命は一層大きくなっている。
石油天然ガス開発技術者が集う石油技術協会は、1933年に創立され、90年を越える歴史を持つ学術団体である。
石油技術協会がその長い歴史の中で培ってきた石油・天然ガス開発技術は、重要かつ高度な技術の蓄積によって成り立っており、それらの技術は、エネルギーの安定供給を果たす上で今後も不可欠なものである。石油技術協会は、これらの技術を継承・発展させるとともに、これに関連する地下構造の解明・地下流体の挙動把握の技術を地熱開発やCCS等様々な分野で応用することで、エネルギー安定供給とカーボンニュートラル社会実現の両立に貢献することを目指している。
石油技術協会は2023年6月にエネルギー安全供給とカーボンニュートラル推進の両立に資するためのビジョンを制定し、当面の活動の方向性を明確にした。そして、その第一歩として、2023年9月には「CCS委員会」を新設し、CO2地下貯留の分野を中心に活動を始めた。将来は分離・回収、輸送分野との交流も拡げていくこととしている。
石油技術協会は、異業種・異分野の方々とのネットワーキングとコラボレーションを促進し、CCS分野への取り組みを拡大していく中で、新分野・新産業への進出を目指す上で重要なプラットフォームを提供し、石油天然ガス業界以外からも新たな会員を迎えることで、幅広い知識の共有を実現していく。