日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT16] 環境トレーサビリティ手法の開発と適用

2024年5月29日(水) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:陀安 一郎(総合地球環境学研究所)、SHIN Ki-Cheol(総合地球環境学研究所)、谷水 雅治(関西学院大学)

17:15 〜 18:45

[HTT16-P12] 安定同位体比分析からみるニホンザル幸島個体群の食性の経年変動

*舟川 一穂1木庭 啓介1 (1.京都大学)

キーワード:安定同位体、食性解析、ニホンザル、社会構造

安定同位体比を用いた食性解析は直接観察が難しい対象を扱えることや長期的な食性履歴を追跡できること、さらには非侵襲的なサンプリングでも可能であることなどの利点から生態学で広く用いられている手法である。本研究ではこの分析手法をニホンザルの個体識別された対象に対して用いることで、個体スケールでの食性および社会構造との関係性を明らかにすることを試みた。
宮崎県串間市に生息するニホンザル幸島個体群を対象とし、2021年∼2023年に体毛および食物資源サンプルを採取し、炭素・窒素・硫黄の三元素について安定同位体比分析を行った。その結果、特にこれまであまり先行研究例のない硫黄同位体比により個体群内で明確に同位体比の変動が検出された。さらにこの変動から同位体混合モデルを用いて個体ごとの食性を推定し、これらの個体の性別や年齢、家系、優劣関係などの社会構造との関係性に対しても考察を試みた。