17:15 〜 18:45
[HTT16-P13] C・N同位体分析による遺跡出土貝殻の産地解明-3海域での同位体比の比較検討
キーワード:貝類、産地推定、炭素同位体比、窒素同位体比
貝類は縄文時代以降食料資源として有用で、貝殻は貝輪などの装飾品や道具に加工され利用された。また中世以降は多様な貝類が遠隔地に運ばれ、広範囲で食資源として利用された。貝殻の形では産地を明らかにできないため、どこの海域で採集されたものが運ばれたのか不明である。それらの産地が分かれば、各時代の人の移動やものの流通圏や搬入ルートの実態を明らかにできることから、貝類の産地解明の取り組みは考古学的に重要な研究課題である。
これまで炭素・窒素同位体分析による海産魚類の産地推定を進めている。同一魚種においても瀬戸内海や日本海、太平洋では骨コラーゲンの炭素・窒素同位体比が異なり、京都の平安京や西条盆地の市宿遺跡などから出土した海産魚類の産地を明らかにした。
貝殻は炭酸カルシウムとコンキオリンというたんぱく質で形成され、化石や遺跡出土の貝殻にもコンキオリンが残存していることが確かめられている(秋山1964)。海産魚類と比較して、生息場所の移動がほとんどない貝類には各生息海域の同位体比の特徴が記録されており、貝殻の炭素窒素同位体比が産地を特定する有力な手掛かりになると期待される。
本発表では、瀬戸内海、日本海、太平洋の3海域で採集された現生アサリの貝殻、および瀬戸内海、日本海、太平洋沿岸部に位置する縄文時代3遺跡出土のハマグリの炭素窒素同位体分析の結果を報告する。各試料は、秋山(1964)およびMae et al.(2007)に従い、コンキオリンを抽出した。前処理には30%過酸化水素水と0.1mol/L塩酸の2方法で試み、それぞれ5分洗浄して表面の汚染を取り除き、超純水で複数回洗浄して中和したものを80℃で一昼夜乾燥させた。次にメノウ乳鉢で粉砕し、粉末0.5gから2.0gをセルロースチューブに取り分け、0.5 mol/LのEDTA溶液で約40度で保温しながら反応させてコンキオリンを抽出した。その後、EDTA溶液を超純水に置換し、セルロースチューブから15mlの遠心管に取り出し、凍結乾燥した。抽出した粉末状のコンキオリン0.3mg~0.6mgを錫カップに秤量し、元素分析装置付き安定同位体比質量分析計(EA-IRMS)により測定した。
本発表では測定結果を報告し、C・N同位体比による海産貝類の産地推定の有効性と課題について考察する。
これまで炭素・窒素同位体分析による海産魚類の産地推定を進めている。同一魚種においても瀬戸内海や日本海、太平洋では骨コラーゲンの炭素・窒素同位体比が異なり、京都の平安京や西条盆地の市宿遺跡などから出土した海産魚類の産地を明らかにした。
貝殻は炭酸カルシウムとコンキオリンというたんぱく質で形成され、化石や遺跡出土の貝殻にもコンキオリンが残存していることが確かめられている(秋山1964)。海産魚類と比較して、生息場所の移動がほとんどない貝類には各生息海域の同位体比の特徴が記録されており、貝殻の炭素窒素同位体比が産地を特定する有力な手掛かりになると期待される。
本発表では、瀬戸内海、日本海、太平洋の3海域で採集された現生アサリの貝殻、および瀬戸内海、日本海、太平洋沿岸部に位置する縄文時代3遺跡出土のハマグリの炭素窒素同位体分析の結果を報告する。各試料は、秋山(1964)およびMae et al.(2007)に従い、コンキオリンを抽出した。前処理には30%過酸化水素水と0.1mol/L塩酸の2方法で試み、それぞれ5分洗浄して表面の汚染を取り除き、超純水で複数回洗浄して中和したものを80℃で一昼夜乾燥させた。次にメノウ乳鉢で粉砕し、粉末0.5gから2.0gをセルロースチューブに取り分け、0.5 mol/LのEDTA溶液で約40度で保温しながら反応させてコンキオリンを抽出した。その後、EDTA溶液を超純水に置換し、セルロースチューブから15mlの遠心管に取り出し、凍結乾燥した。抽出した粉末状のコンキオリン0.3mg~0.6mgを錫カップに秤量し、元素分析装置付き安定同位体比質量分析計(EA-IRMS)により測定した。
本発表では測定結果を報告し、C・N同位体比による海産貝類の産地推定の有効性と課題について考察する。