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[HTT18-P05] 海域の浅層物理探査:音響マッピングの適用可能性と重要性
キーワード:海底下浅部構造、高解像度、地質、洋上風力発電 、音響マッピング
海域の浅部地質構造の把握には音響マッピングが有効である。音響マッピングは海底面近傍の物理情報を平面的に得る観測項目の一つで、観測機器から送受信する音波を用いて地形と後方散乱強度を調査する。同時に調査測線に沿う海底下断面を、浅部構造探査として実施することがある。音響マッピングに用いる観測機器は、海上に浮かぶ船舶や、遠隔操作無人探査機(ROV、有策)や自律型海中探査ロボット(AUV、無策)の底面に取り付けて運用される。観測機器から観測対象までの距離が大きい(たとえば水深分離れる)場合と、小さい(海底面近傍で観測可能)場合には、音響信号が海水中を透過する距離が異なるので、通常はそれぞれで使用する周波数帯が異なり、得られた観測結果の分解能は異なる。この場合には分解能の概念が水平方向だけでなく深度方向にも適用される。すなわち、観測に用いる音響信号の周波数の違いにより、観測結果に影響を与える海底下の領域の広さ(深度)に違いが表れる。つまり私たちが目にする音響マッピング結果は、海底下の様々な深度範囲の影響を表現したものが混在しているのだが、このことは理論的には良く知られているものの、実海域においては音響信号発信機構が必ずしも明らかでないことや、複数の観測値算出アルゴリズムが存在すること、観測時の姿勢や環境により生じるデータの不確実性の影響が大きいことなどにより、一般にはあまり着目されない。
昨今ますます需要が増大している海域利用に、いまある観測技術を最大限に活用して得る海底下浅部地質構造情報をもって応えたい。たとえば急速に進んでいる洋上風力発電では、着床式発電機の基盤が埋設される海底下100 m未満までの、あるいは浮体式発電機のアンカーが設置される海底が、これから長い年月にわたり発電機を安定して支える必要がある。深さ方向にバリエーションがある音響マッピングと浅部構造探査を用いて充分に高分解能である浅部地質構造を把握する。セントラル方式と呼ばれる政府が主導する現行の事前探査フローの重要性は大きい。海域の鉱物資源では、事実まだ鉱区が設定されていない鉱床が多数存在する。確かな生産量を見込む鉱床がどこに存在するのか十分に把握されていないとも言え、新規開拓可能性がある分野でもある。海底下浅部に埋積している潜頭性鉱床を浅部探査手法で可視化した例もある。近未来に二酸化炭素排出量ゼロを実現するためには、排出を免れない二酸化炭素をcaptureしてstorageする、あるいは有効利用する、CCSあるいはCCUSの技術が欠かせないとされている。Storageする場所の選定には、おおまかな地質構造のみならず、不安定な地質構造が局地的にも見られなくガスの移動もないことを示す必要がある。海底下のガスは音響信号の吸収により明瞭に可視化できる。これら既にケーススタディとして蓄積されている音響マッピングの成果から、浅部地質構造把握に有用な情報を引き出し、改めて海域の浅層物理探査の可能性を示し、その重要性を共有して、海域利用拡大に資する成果創出に努めたい。
昨今ますます需要が増大している海域利用に、いまある観測技術を最大限に活用して得る海底下浅部地質構造情報をもって応えたい。たとえば急速に進んでいる洋上風力発電では、着床式発電機の基盤が埋設される海底下100 m未満までの、あるいは浮体式発電機のアンカーが設置される海底が、これから長い年月にわたり発電機を安定して支える必要がある。深さ方向にバリエーションがある音響マッピングと浅部構造探査を用いて充分に高分解能である浅部地質構造を把握する。セントラル方式と呼ばれる政府が主導する現行の事前探査フローの重要性は大きい。海域の鉱物資源では、事実まだ鉱区が設定されていない鉱床が多数存在する。確かな生産量を見込む鉱床がどこに存在するのか十分に把握されていないとも言え、新規開拓可能性がある分野でもある。海底下浅部に埋積している潜頭性鉱床を浅部探査手法で可視化した例もある。近未来に二酸化炭素排出量ゼロを実現するためには、排出を免れない二酸化炭素をcaptureしてstorageする、あるいは有効利用する、CCSあるいはCCUSの技術が欠かせないとされている。Storageする場所の選定には、おおまかな地質構造のみならず、不安定な地質構造が局地的にも見られなくガスの移動もないことを示す必要がある。海底下のガスは音響信号の吸収により明瞭に可視化できる。これら既にケーススタディとして蓄積されている音響マッピングの成果から、浅部地質構造把握に有用な情報を引き出し、改めて海域の浅層物理探査の可能性を示し、その重要性を共有して、海域利用拡大に資する成果創出に努めたい。