17:15 〜 18:45
[HTT18-P06] 実海域における海底表面波探査の試み
キーワード:S波速度構造、海底表面波探査、表面波探査、分散曲線、インバージョン
洋上風力発電や港湾施設の需要に伴い、海底のS波速度構造を調査する必要性が高まっている。近年は海底微動アレイ探査が行われているが、基本的には1次元構造を求める調査である。2次元構造を得られる可能性がある海底での表面波探査について、有効性と課題を調べるための実験を実海域にて行った。
静岡県沼津市内浦に拠点を置くOKIコムエコーズ シーテック事業所所有の水深32m~33mに浮かぶ計測バージを利用して、海底表面波探査の実験を実施した。表面波の起振は重錘落下方式で実施し、計測バージ沿いに設置した1m間隔24chのハイドロフォンで受振した。起振間隔は2m、受振器は固定展開とした。起振には25kg/1個の鉛インゴットを2つ積み重ねたものを使用した。これを海底面より3m上の位置に固定し、自由落下させることで表面波を発生させた。
取得した波形から5Hz~18Hzまでの明瞭な分散曲線を取得できた。水底での表面波探査の解析では水深を考慮する必要がある。水深を考慮すると同じ地盤構造では水底は陸上よりも表面波速度(水と地盤との境界面を伝わる波の速度)が遅くなる傾向がある。得られた分散曲線について、水深を考慮した逆解析を行った。初期モデルは陸上測定を仮定した解析結果を使用した。陸上を仮定した解析結果と水深を考慮した解析結果を比べると、分散曲線はどちらも観測データによくフィッティングできたが、結果のS波速度構造は異なり、水深を考慮した解析の必要性が確認された。
国内の文献では深さ4m以浅の河川、池、干潟での表面波探査の実施例はあるが、水深が深い海での調査例はなく、貴重なデータ取得になったと考える。海底表面波探査は、弾性波探査で解析できない岩盤のような概ね一様な速度を与える地盤、音波探査での地層構造把握が難しい音波散乱層を含む地盤など、水中土木構造物設計のための海底地盤調査として活用の機会を考える。ただし、対象深度が30m以浅に限られる。海上での利用を考える上で潮流や波浪によるノイズの影響を考える必要がある。今回実施した水深は32mだが、水深4m以浅ではノイズの影響が顕著であるとされている。
表面波探査に加え、リニアアレイによる微動計測も実施した。微動計測を併用することでより低い周波数まで分散曲線が得られ、表面波探査だけの場合に比べて可探深度を深くすることができると考えられる。水深を考慮したインバージョンの精度の検証と向上に加え、汎用的なプログラムの作成が今後の課題である。
静岡県沼津市内浦に拠点を置くOKIコムエコーズ シーテック事業所所有の水深32m~33mに浮かぶ計測バージを利用して、海底表面波探査の実験を実施した。表面波の起振は重錘落下方式で実施し、計測バージ沿いに設置した1m間隔24chのハイドロフォンで受振した。起振間隔は2m、受振器は固定展開とした。起振には25kg/1個の鉛インゴットを2つ積み重ねたものを使用した。これを海底面より3m上の位置に固定し、自由落下させることで表面波を発生させた。
取得した波形から5Hz~18Hzまでの明瞭な分散曲線を取得できた。水底での表面波探査の解析では水深を考慮する必要がある。水深を考慮すると同じ地盤構造では水底は陸上よりも表面波速度(水と地盤との境界面を伝わる波の速度)が遅くなる傾向がある。得られた分散曲線について、水深を考慮した逆解析を行った。初期モデルは陸上測定を仮定した解析結果を使用した。陸上を仮定した解析結果と水深を考慮した解析結果を比べると、分散曲線はどちらも観測データによくフィッティングできたが、結果のS波速度構造は異なり、水深を考慮した解析の必要性が確認された。
国内の文献では深さ4m以浅の河川、池、干潟での表面波探査の実施例はあるが、水深が深い海での調査例はなく、貴重なデータ取得になったと考える。海底表面波探査は、弾性波探査で解析できない岩盤のような概ね一様な速度を与える地盤、音波探査での地層構造把握が難しい音波散乱層を含む地盤など、水中土木構造物設計のための海底地盤調査として活用の機会を考える。ただし、対象深度が30m以浅に限られる。海上での利用を考える上で潮流や波浪によるノイズの影響を考える必要がある。今回実施した水深は32mだが、水深4m以浅ではノイズの影響が顕著であるとされている。
表面波探査に加え、リニアアレイによる微動計測も実施した。微動計測を併用することでより低い周波数まで分散曲線が得られ、表面波探査だけの場合に比べて可探深度を深くすることができると考えられる。水深を考慮したインバージョンの精度の検証と向上に加え、汎用的なプログラムの作成が今後の課題である。