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[MAG34-03] トリチウム分析による福島第一原子力発電所から海洋へのセシウム放出源の解析
★招待講演
キーワード:セシウム、福島第一原子力発電所、トリチウム
原子力施設の放射性核種放出を低減することは、施設の廃止や事故後の復興に必須である。福島第一原子力発電所(FDNPP)では、防潮堤を設置して建屋内の高濃度汚染地下水が直接海に流れ出るのを阻止し、137Csの海洋への放出量は減少した。ただし、季節による変動を含む137Cs放出は依然として観測され、その源や変動因子は明らかではない。一方、建屋周辺から汲み上げられた高濃度汚染地下水は、ALPSシステムで浄化され、敷地上のタンクに貯蔵されていた。しかし、2013年と2014年には、処理水の一部が漏れ出し、地下水からは3Hが検出された。本研究では、FDNPP内の地下水と高濃度137Csを含む排水路Kから流出する3H、さらに排水路の137Cs濃度と放出量について、2015年から2021年のデータを基に分析を行い、137Csの未確認海洋放出源と季節変動要因を調査した。流出した3Hを利用した解析により、排水路の全流量に対する表面流の割合を算出し、137Csの流入源と季節変動要因を明らかにした。地表流と判定された部分は、有効雨量法によって2つに分けられ、建物を通って流れ出る成分は137Cs濃度が高く、主要な137Csの流出源であることが確認された。137Cs濃度は、基底流では温度の影響を受け、表面流では降雨の影響を受けることが判明した。