日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI24] Data assimilation: A fundamental approach in geosciences

2024年5月30日(木) 10:45 〜 12:00 104 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:中野 慎也(情報・システム研究機構 統計数理研究所)、藤井 陽介(気象庁気象研究所)、三好 建正(理化学研究所)、加納 将行(東北大学理学研究科)、座長:堀田 大介(気象研究所)、中野 慎也(情報・システム研究機構 統計数理研究所)

11:15 〜 11:30

[MGI24-08] 拡張Kalmanフィルタ法で訓練された再帰的ニューラルネットによる地磁気永年変化の短期予測

*佐藤 匠1藤 浩明1 (1.京都大学理学研究科)

キーワード:地磁気永年変化、時系列予測、データ同化、機械学習

本研究では、データ同化でよく用いられる拡張カルマンフィルタを用いて学習させた機械学習モデルを、実際の地球科学的問題に応用している。 使用する機械学習モデルは再帰的ニューラルネットワーク(RNN)モデル(Elman, 1990)であり、第14世代国際地球磁場標準モデル(IGRF-14)の提案に向けて5年間の地磁気永年変化(SV)を予測する。 拡張カルマンフィルタ(EKF)とは地球科学領域で広く使用されている効率的なデータ同化アルゴリズムである。
5年間の予測精度を検証するために、2004.50から2014.25までを学習期間とした再予報の結果をテストする。RNNモデルの学習データセットとテストデータセットは、全球地磁気観測所の時間平均値および低軌道地球磁場観測衛星であるCHAMPとSwarm-Aのデータから得られた高時間分解能地球主磁場モデル(MCM Model; Ropp et al., 2020)を用いる。この再予報では、誤差逆伝播アルゴリズムで学習したRNNが学習データを正確に再現する一方、効果的に将来を予測できない場合があることを示した。この問題は一般的に過学習と呼ばれ、深層ニューラルネットにおける基本的な問題の一つである。 これに対し、パラメータ推定問題に対するEKFの定式化は、誤差逆伝播とは異なるアプローチでRNNの重みを更新する代替アルゴリズムを提供できる可能性がある。EKFを学習時に使用することにより、学習データの観測誤差を考慮させ学習時のオーバーフィッティング(過学習)を防ぐことができると期待される。