[M-GI24] Data assimilation: A fundamental approach in geosciences

[MGI24-P08] SynObs Flagship OSE に対する気象庁季節予測システム(JMA/MRI-CPS3)による取り組み

*石川 一郎¹、藤井 陽介^1,2、高谷 祐平^1,2、平原 翔二¹ (1.気象研究所、2.数値予報開発センター)

キーワード：海洋観測、データ同化、季節予報、結合モデル、海況予測

海洋観測は数日から季節に亘る様々な時間スケールの海洋・大気の予測に不可欠である。一方、海洋観測網を維持し発展させるには多大な人的・経済的コストがかかる。そのため、海洋観測網は必要な観測データを効率的に得られるように設計され、不断の検証に耐える必要がある。国連海洋科学10年プロジェクト「Synergistic Observing Network for Ocean Prediction (SynObs)」では、数日から季節に亘る海洋・大気の予測に海洋観測網がどのように影響するかを評価するための観測システム実験 SynObs Flagship OSE を計画・推進している。観測システム実験（OSE）から評価される観測の影響は、用いるモデルやデータ同化システムに依存することが知られており、そのため、複数の解析・予測システムを用いてロバストな結論を得られるようにすることが望ましく、こうした国際協力は非常に重要である。
気象研究所では、SynObs Flagship OSE への取組みとして、現行の気象庁季節予測システム JMA/MRI-CPS3 (以後CPS3) を用いたOSEを実施している。現在はCPS3のコンポーネントである全球海洋データ同化システムMOVE/MRI.COM-G3Aを用いて、海洋データ同化の観測システム実験を行っている。検証用の一部のアルゴデータを除いて、同化に利用可能なすべての観測データを用いる実験(CNTL)と海面水温と海面高度の衛星観測のみを用いる実験（NoInsitu）の2実験を完了しており、今後、アルゴ、係留系、衛星海面高度計のインパクトを調べるための観測システム実験を実施する予定である。CNTLとNoInsitu の結果を比較すると、太平洋熱帯域の水温は衛星観測だけでも良く解析されるが、塩分の解析のためには現場の塩分観測が非常に重要であることが示唆される。ポスターでは、他のOSEの結果も含め、海洋データ同化の結果について報告する。今後、より高解像度のMOVE/MRI.COM-G3F を用いた海況監視をターゲットとした実験と、結合モデルを用いた季節内～季節予測、及び海況予測の実験も行う予定であり、それらの計画についても報告する。