日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI26] Data-driven approaches for weather and hydrological predictions

2024年5月30日(木) 15:30 〜 16:45 106 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:小槻 峻司(千葉大学 環境リモートセンシング研究センター)、松岡 大祐(海洋研究開発機構)、岡崎 淳史(千葉大学)、澤田 洋平(東京大学)、座長:澤田 洋平(東京大学)

16:15 〜 16:30

[MGI26-10] 深層学習による北半球夏期季節内変動(BSISO)の予測と説明可能性

*前田 優樹1佐藤 正樹1 (1.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:北半球夏季季節内変動、深層学習、説明可能なAI

本研究では、BSISO(北半球夏期季節内変動)の月程度の予測可能性を、どのような要因が予測可能性の向上に寄与するかという観点から、深層学習を利用して調べる。BSISOは夏季の熱帯において最も顕著な季節内振動のひとつである。冬季に卓越するマッデン・ジュリアン振動(MJO)に比べてより複雑な構造をもち、インド洋北部・西太平洋を北進するとともに赤道に沿って東進する。BSISOは回帰線内、回帰線外の様々な時空間スケールの現象に多大な影響を与える。しかし、既存の数値モデルでは、その予測スキルと潜在的な予測可能性との間に大きなギャップがあり、季節内の予測可能性には依然として問題が残されている。本研究では、深層学習によるアプローチのひとつである畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた、向こう1ヶ月先までのBSISOの予測可能性を調べた。入力データには再解析データおよび衛星観測データを用い、学習データの期間は1979-2014年、検証データは2015-2021年とした。CNNモデルによるBSISOインデックスの予測スキルは、既存の数値モデルと比べより高い結果を示した。CNNモデルの解釈可能な予測情報を抽出するために、「説明可能なAI(XAI)」による解析をおこなった。これは、複雑さゆえに「ブラックボックス」モデルとされる深層学習モデルを解析するための一つの強力なツールであることを示す。今後は、本手法を拡張し、太平洋高気圧の予測可能性、太平洋高気圧とBSISOの変動の関係等の研究への適用を進める。