日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI29] 計算科学が拓く宇宙惑星地球科学

2024年5月29日(水) 13:45 〜 14:45 303 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:大淵 済(神戸大学)、牧野 淳一郎(国立大学法人神戸大学)、亀山 真典(国立大学法人愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、堀田 英之(名古屋大学)、座長:亀山 真典(国立大学法人愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)

14:15 〜 14:30

[MGI29-09] 3次元マントル対流の流れ場を粗い空間解像度で求める直接解法の考案と実装

*亀山 真典1,2 (1.国立大学法人愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター、2.国立研究開発法人海洋研究開発機構)

キーワード:マントル対流、数値シミュレーション、多重格子法、直接解法

本研究では、多重格子法の最粗格子レベルの計算時間の短縮を図ることを目的として。3次元マントル対流の流れ場 (速度と圧力) を粗い空間解像度で求める直接解法を開発する。この手法では変数分離法の考えに基づき、鉛直方向には有限体積法によって方程式を離散化して解くが、水平方向には我々が「なんちゃってスペクトル法」と呼ぶ方法を用いる。この手法の核心は、与えられた粗い空間解像度でのスペクトル展開に適した「なんちゃって」基底関数の組を数値的に構築することにある。このような基底関数は、水平面内の微分演算子 (ラプラシアン) を離散化したものにあたる行列の固有値問題を解くことによって得られる。我々の経験から、この手法は問題が小規模であるが故に計算負荷が非常に小さく、「なんちゃって」基底関数を数値的に構築するコストや鉛直方向の微分方程式を数値的に解く手順を含めても、ごくわずかな計算コストしか必要としないことが分かった。また、3次元直交座標系でのマントル対流シミュレーションプログラムに本手法を取り入れたところ、新しい直接解法によって (最粗格子レベルでの精度に見合った) 非常に「行儀のよい」解を得ることができ、ひいては多重格子法計算の全体的なコストの削減にも役立つ可能性のあることが分かった。発表では、(3次元球殻形状など) 直交座標系でない場合にこの手法を応用する可能性についても議論する。