17:15 〜 18:45
[MGI31-P06] リポジトリコア再解析プログラム(ReCoRD):中新世日本海の古気候と古海洋(ReC23-03)
キーワード:リポジトリコア再解析プログラム(ReCoRD)、日本海、中新世、ODP Leg 127、IODP Exp. 346、高知コアセンター(KCC)
リポジトリコア再解析プログラム(ReCoRD)は、2023年度から開始された過去の掘削コアを活用する新しいプログラムである。高知コアセンター(KCC)に保管されている、過去のDSDP・ODP・IODPで採取されたコア(リポジトリコア)を活用して、通常のサンプルリクエストよりも大きなチームで組織的に研究を行うことが特色である。
このReCoRDの3番目のプロジェクトとして、「中新世日本海の古気候と古海洋(ReC23-03)」が採択され、今年実施される予定である(https://j-desc.org/record/)。ReC23-03では、現在よりも温暖であった中新世の古気候・古海洋復元を目的とし、特に1)平行葉理が観察される堆積物に記録された短周期の気候変動、2)10.8Maの急激な温暖化時期の日本海における海洋環境復元とほぼ同時期に起こったとされる隕石衝突と急激な温暖化との関係性、の2点に着目して研究を行う。特に、多くの研究者が協力して生層序やテフラ年代、物性データによる対比など様々な観点から過去に作成された年代モデルを再検証して年代推定精度及び時間解像度を上げるとともに、追加分析により対比ポイントを増やすことで、各サイトから得られた、異なる水深で同時に堆積した試料を比較し、過去の日本海海洋環境の鉛直構造までを明らかにすることが特徴である。
ReC23-03では、1989年にODP Leg127で採取された794地点、795地点、797地点のコアと、2013年にIODP Exp. 346で採取されたU1425地点、U1430地点のコア試料を用いる。Leg 127のコアは各サイトで1 Holeしか掘削していないためコアギャップが存在して完全連続試料が採取されていないという問題があり(Tamaki et al., 1990)、Exp. 346のコアは複数孔を掘削し完全連続柱状図が作成されている(Irino et al., 2018)ものの採取年代が限られており(Tada et al., 2015, Kurokawa et al., 2019)、中新世において水深比較が行えるのは約200万年間に限られるという欠点があった。そこでReC23-03では再検証・改訂した年代モデルを用いて上記5地点のコアを正確に対比することにより、鉛直構造まで含めた過去の海洋環境を高時間解像度で復元することを目的としている。
非破壊分析を行った後にサンプリングパーティーを行うというReCoRDの特徴を活かし、ReC23-03では、ITRAXやCTなどの非破壊分析を先に行い、その結果を参照しながら全ての試料のサンプリングを行う。例えば、これまでに得られている中新世の日本海堆積物は石灰質微化石をほとんど産出しないことが知られているが(Nomura, 1992、Tada et al., 2015)、ReC23-03ではITRAXで分析した堆積物元素組成を参照しながら、特にカルシウム含有量の高い特定の層準をmmスケールで見つけ出して石灰質微化石分析用のサンプリングを行うことが可能である。
ReC23-03は、既にサンプルリクエストを受け付けており、今年の7月にサンプリングパーティーをおこない、各自の分析に入る予定である。様々な専門分野の研究者が集まっているため、今後、このプロジェクトから中新世の日本海の古環境について多くの研究成果が生まれることが期待される。
このReCoRDの3番目のプロジェクトとして、「中新世日本海の古気候と古海洋(ReC23-03)」が採択され、今年実施される予定である(https://j-desc.org/record/)。ReC23-03では、現在よりも温暖であった中新世の古気候・古海洋復元を目的とし、特に1)平行葉理が観察される堆積物に記録された短周期の気候変動、2)10.8Maの急激な温暖化時期の日本海における海洋環境復元とほぼ同時期に起こったとされる隕石衝突と急激な温暖化との関係性、の2点に着目して研究を行う。特に、多くの研究者が協力して生層序やテフラ年代、物性データによる対比など様々な観点から過去に作成された年代モデルを再検証して年代推定精度及び時間解像度を上げるとともに、追加分析により対比ポイントを増やすことで、各サイトから得られた、異なる水深で同時に堆積した試料を比較し、過去の日本海海洋環境の鉛直構造までを明らかにすることが特徴である。
ReC23-03では、1989年にODP Leg127で採取された794地点、795地点、797地点のコアと、2013年にIODP Exp. 346で採取されたU1425地点、U1430地点のコア試料を用いる。Leg 127のコアは各サイトで1 Holeしか掘削していないためコアギャップが存在して完全連続試料が採取されていないという問題があり(Tamaki et al., 1990)、Exp. 346のコアは複数孔を掘削し完全連続柱状図が作成されている(Irino et al., 2018)ものの採取年代が限られており(Tada et al., 2015, Kurokawa et al., 2019)、中新世において水深比較が行えるのは約200万年間に限られるという欠点があった。そこでReC23-03では再検証・改訂した年代モデルを用いて上記5地点のコアを正確に対比することにより、鉛直構造まで含めた過去の海洋環境を高時間解像度で復元することを目的としている。
非破壊分析を行った後にサンプリングパーティーを行うというReCoRDの特徴を活かし、ReC23-03では、ITRAXやCTなどの非破壊分析を先に行い、その結果を参照しながら全ての試料のサンプリングを行う。例えば、これまでに得られている中新世の日本海堆積物は石灰質微化石をほとんど産出しないことが知られているが(Nomura, 1992、Tada et al., 2015)、ReC23-03ではITRAXで分析した堆積物元素組成を参照しながら、特にカルシウム含有量の高い特定の層準をmmスケールで見つけ出して石灰質微化石分析用のサンプリングを行うことが可能である。
ReC23-03は、既にサンプルリクエストを受け付けており、今年の7月にサンプリングパーティーをおこない、各自の分析に入る予定である。様々な専門分野の研究者が集まっているため、今後、このプロジェクトから中新世の日本海の古環境について多くの研究成果が生まれることが期待される。