[M-GI31] 地球掘削科学

[MGI31-P09] 海底堆積物から海溝型地震はどこまで読解できるか？：西部南海トラフにおける試み

小澤 紬^1,6、*岩井 雅夫²、池原 研³、金松 敏也⁴、芦 寿一郎⁵、浅田 美穂³ (1.高知大学大学院、2.高知大学海洋コア国際研究所、3.産業技術総合研究所、4.海洋研究開発機構、5.東京大学大気海洋研究所、6.（株）マリン・ワーク・ジャパン)

キーワード：南海地震、西部南海トラフ、タービダイト、海底活断層

海溝型地震はどのように堆積物に記録され、海底堆積物から我々は海溝型地震履歴をどこまで読み解けるだろうか？本研究では、南海トラフ西部域の複数航海(KR9705,KR9911, KY12-11、KY13-08、KY13-17、KR14-E05、KY14-11)で採取された計67本のコアについてX線CT，MSCL(帯磁率・密度)などの非破壊計測とスメアスライド観察を行なった。
その結果、１）火山灰Sz-3（1471年桜島文明噴火)と鬼界アカホヤ火山灰(K-Ah；約7300年前)を検出、広域対比に成功、半遠洋性泥の堆積速度を算出した、２）南海地震震央域ではSz-3火山灰直上にタービダイトを検出、東海・東南海域の明応地震（1498年）より先行して南海地震が発生した可能性が指摘された、３）室戸舟状海盆では歴史地震発生間隔以上の頻度でタービダイトが検出され、地震による強振動のみならず沿岸流の関与が示唆された、４）外縁隆起帯以南の斜面海盆では、近年の歴史地震に対応するタービダイトがほとんど（全く）できなかった、５）外縁隆起帯内の孤立閉鎖海盆（土佐ばえ海盆）他では、歴史地震や遺跡調査に対応する地震性タービダイトが最も良く記録されており、６）帯磁率、XRFコアスキャナの主要元素（特にCa/Ti）、CT(Helical)データ読解から、タービダイトの検出や堆積構造特性を判別可能、７）土佐ばえ海盆南北側線上で横ずれ成分を伴う正断層の両側コア（下盤側KY13-17PC08、上盤側PC09）の対比により、3670年前ないし3440年前に本地域最大の正断層活動（変異量30-20cm)による埋め戻しイベントが検出された。